[口演S-3-5] 対面授業再開後の大学生の精神健康状態に与える影響要因の検討
-睡眠の質・孤独感・ストレスコーピングの関連と性差-
Keywords:精神健康状態、睡眠の質、孤独感、ストレスコーピング、性差
【目的】半期の遠隔授業後、対面授業を再開した大学生の精神健康状態と睡眠の質・孤独感・ストレスコーピングの性差と性差をふまえた精神健康状態への影響要因を横断研究で確認する。【方法】調査対象は A 大生 2039 名、調査期間は 2021 年 9 ~ 12 月とした。質問紙は精神健康状態(GHQ28・ CES-D)・ストレスコーピング(GCQ: 問題解決・認知的再解釈・情緒的サポート希求・感情表出)・孤独感(UCLA)・睡眠の質(PSQI-J)を用いた。分析は各尺度の記述統計と t 検定、 GHQ28 とCES-D を各々従属変数とした重回帰分析を行った。研究対象者に研究趣旨、結果公表、匿名性確保、自由意志の尊重、同意撤回の自由、成績評価の不利益がないことを説明し回答をもって了解を得た。【結果】有効回答数は 478 名(男 238 名、M=19.54 歳 ; 女 240 名、M=19.95 歳)であった。男の GHQ28(M=4.73)、CES-D(M=15.48)、PSQI(M=5.18)はカットオフ値を下回ったが、女はカットオフ値を上回った(GHQ28: M=6.55; CES-D: M=16.49; PSQI: M=5.64)。UCLAは男女共に高孤独感の基準値を下回った(男 41.75、女 39.84)。性差について t 検定の結果年齢、GHQ28、CES-D、問題解決、情緒的サポート希求(以下、情緒)は女の方が有意に高かった。GHQ28 と CES-D を従属変数とした重回帰分析の結果、男は GHQ28 では PSQI(β =.47)、UCLA(β =.32)が、CES-D では PSQI(β =.39)と UCLA(β =.43)・情緒(β=-.17)が有意だった(ps<.01)。女は GHQ28 では PSQI(β=.45)・UCLA( β =.31)・情緒( β =.16) が、CES-D では PSQI(β =.40)・UCLA(β =.32)と情緒(β =-.14)が有意だった(ps<.01)。【考察】GHQ28 と CES-D・PSQI の性差は先行研究と整合したが、UCLA の性差はなく先行研究と異なった。男女共に精神健康状態への影響が強いのはPSQI とUCLA であった。睡眠障害と孤独感に適切に対処することが精神健康の維持・向上に寄与することが示唆された。孤独感や情緒的サポート希求が精神的健康に影響していた点は、社会的交流が抑制されるコロナ禍を反映した可能性がある。