[口演S-5-1] 予定外受診した呼吸器疾患患者のセルフケアの実態
Keywords:予定外受診、呼吸器疾患、セルフケア
【目的】予定外受診をした呼吸器疾患を有する患者のセルフケアの実態を明らかにし、受診行動を促進するためのセルフケアの支援を検討することができる。<用語の定義>予定外受診:患者が症状を自覚後に、患者あるいは家族の判断で予約している外来受診日の前に行う受診行動。 受診行動の遅れ:呼吸疾患患者が行った予定外受診について医師 2 名により受診行動が遅れたと判断されること。セルフケア:個人がより良い状態を得るために自分自身や環境を調整するための意図的に行う行動。【方法】期間:2021 年 10 月~ 2022 年 1月。対象者:呼吸器・感染症内科に予定外受診した患者 30 名。調査方法:無記名自記式質問紙調査及び診療録調査を行った。入院対象者へのアンケートは状態が安定しているときに病室で回答を依頼し、外来対象者へは外来の待ち時間を利用して回答を依頼した。調査内容は患者背景、慢性病者のセルフケア能力を査定する質問紙、セルフケアの状況。分析方法:受診遅れ群と遅れなし群の 2 群に分け、背景、セルフケアについて比較分析を行った(Fisher の直接法、Pearson のχ2 検定、Mann-Whitney の U 検定)。本研究は、山口大学医学部附属病院臨床研究等審査委員会の承認を受け実施した。【結果】対象者は、男性 16 名、女性 14 名、平均年齢は 70.4 ± 16.7 歳で、Hugh-Jones 分類では、1 度(17%)、2 度(26%)3 度(20%)、4 度(30%)、5 度(7%) であった。受診遅れ群 12 名、遅れなし群 18 名であった。受診遅れ群は、当日の緊急入院が有意に高かった(p < 0.001)。受診遅れ群のセルフケアとして、緊急連絡先の認知が有意に低く(p < 0.05)、高齢で、退院指導の認知や適正な受診の判断ができていない傾向にあった。セルフケア能力については両群に大きく差はなく、両群とも外来で体調の変化について相談できていた。【考察】受診が遅れ、緊急入院となることは、患者にとって今後の QOL や予後に大きく関わることであり、受診遅れを防ぐことが重要であることが再認識できた。また両群においてセルフケア能力に差がないにも関わらず、受診遅れ群は緊急連絡先や退院指導の認知ができていなかった。対象者の状況を的確にアセスメントし、どのような症状で、いつ、どこに相談し受診するかを丁寧に伝え、確認していく必要性が示唆された。