[口演S-6-1] がん相談支援センターに寄せられる離職したがん患者の支援に関するニーズの検討
Keywords:がん相談、就労支援、離職したがん患者の支援
【目的】がん患者の就労相談内容について後ろ向きに調査し、がん治療により離職あるいは離職予定の患者が、身体・心理・社会的にどのようなニーズを持っているのかを明らかにする。【方法】令和 2 年度に A 病院のがん相談支援センターに訪れた患者のうち、がん治療により離職あるいは離職予定患者 17 名。診療録から、基本属性 7 項目と相談内容を後ろ向き調査した。基本属性は単純集計を行い、相談内容は意味内容の同じものでコード化し、<サブカテゴリー>[カテゴリー]を生成し、患者のニーズを分析した。所属施設の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】対象者は男性4 名女性13 名。年齢は 23 ~ 71 歳。治療中の患者 12 名、治療後経過観察中 5 名であった。離職理由は、12 名が本人の身体状況などによるものであったが、4 名は解雇や契約切れによるものであった。身体状況により働くことができないと相談してきた 9 名は<傷病手当金や障害年金の申請><生活費の借り入れ>など[社会保障制度による支援]を求めていた。一方、身体症状はあるものの働きたいと相談してきた 8 名は<人の役に立ちたい・社会と繋がっていたい><生活費を稼ぎたい><自分の将来のために働きたい>といった思いを持ち<自分の体調やペースに合わせた仕事><体調への理解や配慮がある職場環境>などを希望し[体調に合わせた両立支援]を求めていた。【考察】がん相談支援センターを訪れる離職した患者のニーズは、[社会保障制度による支援]と[体調に合わせた両立支援]であった。患者は、生活の中で自身の身体状況を見極め、それに見合った支援を求めていた。身体症状はあるものの働きたい患者は、将来的な展望や社会的責任を果たそうとする思いを持ちながら、体調を優先した働き方を模索していた。個々に合わせた具体的な就労条件を過負荷とならないよう、雇用側とすり合わせる支援が必要である。一方、身体症状により働けない患者は<傷病手当金や障害年金の申請><生活費の借り入れ>など治療と生活を維持するため、より具体的なノウハウや支援を必要としていた。今回の調査結果でも 7 割が治療中であり、がん治療の負担は身体面だけでなく、経済面の不安にも繋がっていた。治療継続のためにも、切れ目のない社会資源を活用した支援が必要だと考える。患者の状況を見極め、具体的な要望を把握し関連部署と密に連携して、その時期にあった支援が必要である。