第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

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口演

口演6群 疾病・障がいとともに暮らすことへの支援

Fri. Sep 2, 2022 9:30 AM - 10:30 AM 口演会場2 (204)

座長:岩井 久代

[口演S-6-2] 大腸がんStage 2・3 期の患者が術後補助化学療法を受けると決断するまでの意思決定プロセスとその要因

柳田 朱里1, 木村 亮太1, 長山 豊2, 谷田 明美1, 田中 靖也1, 南出 成美1 (1.金沢大学附属病院, 2.金沢医科大学看護学部)

Keywords:術後補助化学療法、意思決定、プロセス

【目的】A 病院では,大腸がん術後の病理結果で Stage 2・3期と診断された患者は,次回の外来診察までに補助化学療法の意思決定を委ねられることがある。これまでに地域で療養中の患者の意思決定プロセスを明らかにした研究はほとんどない。本研究では , 大腸がん Stage 2・3 期の患者が術後補助化学療法を受けると決断するまでの意思決定プロセスとその要因を明らかにし,必要な看護支援を検討する。【方法】1.研究方法:事例研究 2. 研究参加者:20XX 年 4 月から 9 月までに A 病院で大腸がん Stage 2・3 期と診断され,術後補助化学療法を受けている患者 4 名 3. 調査期間:2021 年 3 月 1日~ 3 月 31 日 4. データ収集方法:診療録で基本情報を収集後,インタビューガイドを用いて半構造的面接を行った。プライバシーが確保された場所で,了承を得て録音した。5. 分析方法:面接内容の遂語録を熟読し,治療前後の思いや治療状況等を文脈毎に全体を捉えた。次に化学療法決断までの意思決定プロセスを事例毎に記述した。意思決定への関連要因を抽出し,研究参加者全体に共通する意思決定プロセスを記述した。質的研究経験者からスーパーバイズを受け,分析の信頼性と妥当性を高めた。6. 倫理的配慮:研究参加者には,研究の趣旨,個人情報保護への配慮,データの取り扱い,公表方法等について文章で同意を得た。【結果】1. 研究参加者の概要 研究参加者 4 名の平均年齢は 63.7 ± 9.2 歳,面接時間は平均 36 分であった。2. 分析結果 事例 A,事例 B,事例 Cでは説明を受けた時点で,治療を自身の中で決めており,地域で療養中は周囲に相談することで決断への再確認をしていた。事例 D は治療への迷いはあったが,最終的には自身で治療を決断していた。要因は,もう少し長く生きたいという思い,化学療法の予期的不安,周囲の後押し,医療者への信頼,趣味や仕事を続けたい思いがあった。【考察】研究参加者は,化学療法治療が続くことへの衝撃やショックを感じながらも自らの病気と向き合い,情報収集し,周囲の後押しの中,もう少し長く生きたいという自らの意思のもと,治療を決断していた。そのため,看護師は本人の主体性や意思を尊重しながら関わることが必要であり,患者に親身になって信頼関係を構築し,支援に必要な情報を得ながら,状況に合わせて情報提供することが必要である。