第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

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口演

口演6群 疾病・障がいとともに暮らすことへの支援

Fri. Sep 2, 2022 9:30 AM - 10:30 AM 口演会場2 (204)

座長:岩井 久代

[口演S-6-3] 心不全患者へのACP に不全感を抱いた事例を語ることで生じた看護師の思いの変化

小松 恵美, 栗原 里奈 (碧南市民病院)

Keywords:心不全、ACP、不全感、看護師の思い

【目的】心不全は入退院を繰り返しながら、徐々に機能低下し、最期は急速に悪化する。そのため、人生の最終段階に受けたい医療や過ごし方を考える機会をもつことが大切である。今回、心不全患者の ACP に不全感を感じた事例(A 氏)を経験した。デスカンファレンス(以下 DC)は、看護師の抱える辛さを共有し、支援できたことに着目することで不全感が払拭されると言われている。A 氏の DC を通して看護師の思いにどのような変化があったか明らかにすることを目的とする。【方法】A 氏の最後の入院を担当した看護師 14 名を対象に、1 グループ 5 名前後で DC を行なう。DC では、ACP に関して不足していた点、支援できた点、今後どんな支援がしたいか話し合う。その後、半構造化面接法にてグループ面接、録音を行う。逐語録を作成し、看護師の思いや考えを抽出しコード化、カテゴリー化する。倫理的配慮として、対象者に文書で説明し同意を得た。また、対象施設において倫理委員会の承認を得た。【結果】4 つのカテゴリー《》と 9 つのサブカテゴリー〈〉を抽出した。《ACP 実践力向上への意欲》では、〈各個人がよりよい ACP を行うための知識を習得したい〉〈チームで ACP を実践したい〉〈患者に寄り添った看護を提供したい〉の 3 サブカテゴリーにまとめられた。《自己肯定感の獲得》では、〈他看護師の意見によって、患者・家族への関わりができていると実感できた〉〈他看護師からの承認により自己肯定感を得た〉の 2 サブカテゴリー、《チームで看護することに対する意識の高まり》では、〈カンファレンスの重要性の再認識〉〈チームで看護することの大切さの再認識〉の 2 サブカテゴリー、《払拭できない自己不全感》では、〈実践しきれなかったという思いに対する晴れない気持ち〉〈今後の看護に活かせないため、前向きになれない〉の 2 サブカテゴリーにまとめられた。【考察】DC で、不足していた点だけでなく、支援できた点を語ることで、看護師は自己効力感を獲得し、したい看護を語る事ができた。亡くなった A 氏へは、看護を提供できないという思いから不全感を払拭できなかった者もいたが、チームで看護することの大切さを再認識し、知識や実践に必要な情報を共有し、ACP 実践力向上への意欲にも繋がった。今後、他職種を含めたカンファレンスを行ない情報共有し、支援を振り返ることでチームでの ACP の基盤を築いていきたい。