第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

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口演

口演6群 疾病・障がいとともに暮らすことへの支援

Fri. Sep 2, 2022 9:30 AM - 10:30 AM 口演会場2 (204)

座長:岩井 久代

[口演S-6-4] 緩和ケアに関する医療者の知識・実践・困難感に対する実態調査

-人工透析センターに勤務するスタッフを対象にして-

森本 恵子, 濱戸 玲子 (大和高田市立病院)

Keywords:末期舌がん、終末期看護、外来通院透析、看護師・臨床工学技士の実態調査

【目的】A 病院人工透析センターは開設 20 年を超え透析患者全体が高齢化傾向にある。また複数疾病や合併症を併発し末期がん患者へ透析を行う事を余儀なくされている。今回舌がんと告知を受けた患者が、治療入院を望まず通院透析を自己決定された事例を初めて経験した。その中で患者が求めるニーズを理解し適切なケアの提供が出来ているか、患者の思いに寄り添い支えているか、同時に人工透析センタースタッフは緩和ケアをどのように考えているか疑問に思い現状を把握したいと思った。【方法】A 病院人工透析センターに勤務する看護師 10 名、臨床工学技士7名を対象にアンケートを実施した。アンケートは信頼性妥当性があり、許諾を必要としない「緩和ケアに関する医療者の知識・実践・困難感尺度」を使用した。自由記載は「今までに医療従事者として終末期患者に関わった際どのような困難感がありましたか」の質問に回答して頂きどの設問にあてはまるのかカテゴリー化を行った。倫理的配慮については、アンケートの回答をもって同意とし、アンケートで得られた情報は、研究目的以外で使用しない事、自由意志により回答していただくものであり、回答されなくても不利益が生じるものではない事を文書にて説明した。回収したアンケートは研究終了後速やかにシュレッダーを使用し破棄した。【結果】アンケート回収率は 100%そのうち有効回答率は 76%であった。11 項目それぞれに統計学的分析を用いて検定を行った結果、得点の高い方が常に緩和ケアを行っている『疼痛』と『せん妄』の 2 項目に有意差がみられた。自由記載では、知識不足、多職種連携の必要性、苦痛を理解する事への困難感に関する記載がみられた。【考察】人工透析センターは異なる専門性を持った職種が集まり共有した目標に向けてともに働いている。看護師は患者の訴えに寄り添い苦痛の緩和に努めている。一方臨床工学技士は医療機器の専門医療職であるため人々を対象とした学びがカリキュラム上にほぼなく臨床の現場で困難に感じることが多かったのではないかと考える。今回の実態調査を行う事で、それぞれの思いや困難感、ケアの重要性を確認することが出来た。今後も更に専門性や特殊性を発揮出来るようにする為、不足する知識技術を補い合う必要がある。その為には早期より多職種と協働して、勉強会やケースカンファレンスを開催し緩和ケアに取り組んでいく事が課題である。