第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

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口演

口演6群 疾病・障がいとともに暮らすことへの支援

Fri. Sep 2, 2022 9:30 AM - 10:30 AM 口演会場2 (204)

座長:岩井 久代

[口演S-6-5] A病院の看護師が抱く困難感の現状調査

松本 千聖, 門井 文恵, 廣野 美由紀, 濵田 琴絵, 鮫島 美来 (関西医科大学附属病院)

Keywords:看護師、困難感、コミュニケーション

【目的】A 病院は 751 床のうちがん患者がおおよそ 1/3 入院しており、がん診療連携拠点病院に登録されている。業務の中では看護師の経験年数も異なり、がん患者やその家族とのコミュニケーションの対応に困難感を抱いている看護師が多いことが推測された。そこで、A 病院に従事する病棟看護師全員を対象に、がん患者に対するコミュニケーションの現状調査を「看護師のがん看護に対する困難感尺度」を用いて現状を明らかにしたいと考え本研究に取り組んだ。【方法】期間:2020 年 12 月 1 日~ 12 月 31 日、対象者:A 病院のがん患者が入院する病棟看護師延べ約 420 名(管理者、経験年数 1 年目の看護師は除外)、調査方法「看護師のがん看護に対する困難感尺度」を用いてアンケート調査を行い、結果を集計し分析を行った。分析方法:アンケートの結果を経験年数別に分類(2 ~ 5 年目を若手群、6 ~ 10 年目を中堅群、11年目以上をベテラン群)し、質問番号毎にウィルコクソンの順位和検定を用いて比較検討を行った。p<0.05 とした。今回コミュニケーションに対する困難感について焦点を当てたため 6 因子のうち 2 因子を抜粋した。倫理的配慮については A 病院大学倫理委員会の承認を得た。【結果】病棟に所属する看護師 420 名のうち有効回答数は 202 名(48.1%)であった。看護師のがん看護に対する困難感尺度の全体の平均値は 4.1 であった。(最大値 5)「1. コミュニケーションに関すること」の平均値は 4.4 であった。若手群とベテラン群を比較検討し「死」や「悪い知らせ」に関する質問項目に若手群は困難感が高く有意差があった。(p=0.01)【考察】全体的にがん患者とのコミュニケーションに対して困難と感じていた。池田は「看護師ががん患者・家族とのコミュニケーションに困難や自信のなさを感じることがあるのは、看護師のコミュニケーションが良かったのかどうか実感しにくいことも影響していると考えられる。」と述べている。このことから、コミュニケーションに正解・不正解はなくがん患者・家族との看護師の信頼関係が必要となるため困難感が高くなったと考えられる。また中でも若手群は死に直面した時の患者やその家族に対する経験不足、看護師自信も死に関する恐怖を感じていると考えられ、困難感が強くなったと推測される。