第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

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口演

口演7群: 安全・安楽への支援

Fri. Sep 2, 2022 12:30 PM - 1:30 PM 口演会場2 (204)

座長:斉藤 美香

[口演S-7-1] 人工膝関節全置換術(TKA)後、急性期における 1 日 5 回クーリング交換を行うことによる患部の温度変化の実態調査

鈴木 萌, 澤田 麻里 (碧南市民病院)

Keywords:人工膝関節全置換術、冷罨法、温度、疼痛、腫脹

【目的】変形膝関節症の患者数は増加傾向にあり、病状の進行に伴い人工膝関節全置換術(TKA)を選択することがある。術直後から出血量が増量し、腫脹や浮腫が発生しそれに伴って疼痛が発生する。術後の疼痛、腫脹に対してクーリングを行なうが、その方法は明確に定義されておらず、A 病院でも統一した方法が確立していなかった。そこで、先行研究を参考に 1 日 5 回コールドパック(以下パックとする)を交換する方法を取り入れた。患部の温度がどのように変化しているかを明らかにし、同時に疼痛や腫脹の状況も調査することを目的とした。【方法】TKA を受ける 70 代男性 1 名女性 2 名を対象に、急性期(術直後~術後 5 日目)に調査した。3 時間以上凍らせたパックをベルトで患肢に固定し、1 日 5 回時間を決めて交換するが、希望時にはその都度交換した。温度測定は、直腸温度計を使用し創部に貼った創傷被覆剤の上に固定し持続的に測定した。下肢周囲径を入院時・術直後・術後 1 ~ 5 日目の 10 時に測定し、痛みは NRS を使用してパック交換時に確認した。対象者からの感想を聞き取り調査した。倫理的配慮として、対象者に文書で説明し同意を得た。また、対象施設において倫理委員会の承認を得た。【結果】温度変化は、パック交換直後低下し、その後上昇、各人の温度の差は 2.2 ~ 8.6℃であった。1 名は、術後 2 日目まで夜間に交換を追加で行なった。周囲径は、術直後から増加し、1 ~ 4 日目で最高値となり、徐々に軽減したが術後 5 日目までに術前は下回ることはなかった。術後 1 日目まで硬膜外麻酔を使用し、1 日 3 回の鎮痛剤内服を行なっていた。術直後は、NRS 0 ~ 10 と差がみられ、リハビリ後には痛みの上昇があった。追加の鎮痛剤は、術直後と術後 1 日目 20 時に使用した。「痛みがやわらぐ感覚があった」「気持ちよかった」「呼ばなくても来てくれて安心した」などの意見があった。【考察】先行研究より温度上昇はあったが、5 回のパック交換で急激な温度上昇は防げたと考える。痛みの感じ方は個人差があり、リハビリ等で活動量が増えることにより痛みの増強もあり、クーリングの効果が得られたかは明らかではない。データも少なく客観的な効果は十分ではなかったが、「気持ちよかった」などの主観的な効果や安心感に繋がったと考える。夜間追加でパックを交換した者もいたため、今後は夜間の交換頻度について検討していきたい。