第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

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口演

口演7群: 安全・安楽への支援

Fri. Sep 2, 2022 12:30 PM - 1:30 PM 口演会場2 (204)

座長:斉藤 美香

[口演S-7-5] 手術室看護師へ火災の原因と対応について知識向上を目的とした取り組み

浅見 加奈, 山下 直美, 山﨑 睦子, 岡崎 勇輝 (東京医科歯科大学病院)

Keywords:手術室、手術室火災、災害看護

【目的】米国では年間 50 ~ 200 件の頻度で手術室火災が報告され、その約 20%は重篤な障害や死亡例となっている。我が国でも頻度は少ないものの、気管切開中の気道熱傷やアルコール含有の消毒薬が原因と思われる術野火災の報告がある。手術室には火災の 3 大リスクである電気メスなどの発火剤、酸素投与による酸化剤、アルコール含有の消毒薬がしみ込んだ覆布などの可燃物が身近に存在する。とくに火災の危険性が高い気管切開術や頸部リンパ節生検術など頭頚部領域の手術は緊急かつ局所麻酔で実施されることもあり、手術室看護師は火災の知識と火災発生時の迅速な対応が求められる。よって手術室看護師の火災の原因と対応について知識向上を目的として取り組んだ結果を報告する。【方法】対象: A 病院手術部看護師 57 名。手術室火災についての動画を作成し、視聴前後で火災の知識を問うアンケートを実施した。倫理的配慮として、アンケートは無記名とし個人の特定がされないようにした。アンケートの結果は単純集計した。【結果】視聴前アンケートの回収率は 93%、視聴後アンケートは 82%であった。手術室火災の知識を問う問題 5 問すべてで視聴前アンケートより視聴後アンケートの正答率が上昇した。【考察】視聴後アンケートにおいて手術室火災の原因と対応について「理解できた」が 95.7%であったこと、手術室火災の知識を問う問題すべてにおいて視聴後に正答率が上昇したことから、勉強会を実施したことで手術室火災についての知識が増えたといえる。動画はアルコール含有消毒薬使用後の酸素投与下での火災の広がり方や気管チューブ内を火が行き来する映像を取り入れ、火災のインパクトを重視して作成した。それにより視聴者たちは手術室の火災が身近に起こりうると考えることが出来たのではないか。一般的に術中火災への対応を考えるうえで、ASA(米国麻酔科学会)の火災対応ガイドラインとそのアルゴリズムを学ぶことが有用であるといわれている。ASA の火災対応ガイドラインでは、1教育、2訓練、3準備、4防止、5対応という 5 つのステップがあり、なかでも火災防止と早期発見を重要視している。今回の勉強会は看護師への教育として実施したが、今後は医師や臨床工学技士など多職種を含め、訓練、準備とステップアップしていくことを考えている。