[口演S-8-5] COVID-19 重症患者を管理する看護師長が抱える苦悩
Keywords:COVID-19、重症患者、看護師長、苦悩
【目的】COVID-19 重症患者を管理する看護師長が抱える苦悩を明らかにする.【方法】1.研究デザイン:質的記述的研究デザイン 2.研究対象者:COVID-19 重症患者を管理する看護師長 6 名 3.データ収集期間:2021 年 10 月~ 2021 年 11月 4.データ収集方法および分析方法:インタビューガイドを用い,半構造化面接法を実施した.逐語録に起こした発言記録をデータ化し,Berelson.B の内容分析を参考にカテゴリ化した.また,カテゴリの信頼性を検討するために,Scott.W.A. の式により一致率を算出し,70%以上を信頼性確保の基準とした.倫理的配慮:研究の趣旨,研究への参加への自由意思,個人情報の保護,撤回の自由について説明したのち,文書による同意と署名を得た.なお,本研究は A 病院倫理委員会の承認を得て行った.【結果】COVID-19 重症患者を管理する看護師長が抱える苦悩では 608 の記録単位が抽出され,11 カテゴリと 34 のサブカテゴリに分類された.カテゴリへの 分類の一致率は 70.3%であり,<先が見えない不安と疲労の中での病棟管理>,<他部署や他職種からの偏見や差別>,<スタッフのメンタル不調や退職>,<全て自ら考え決断しなければならない>,<スタッフの思いやケアを統一していくことの難しさ>,<短期異動者の教育方法の構築>,<組織の支援がない状態でのマニュアル作成>,<安全な労働環境が確保できない>,<フェーズ応じた看護提供体制の変更>,<スタッフの変化に気づくことができない>,<スタッフに日々変化する情報を周知できない>の 11 カテゴリが見出された.【考察】COVID-19 重症患者を管理する看護師長は,経験年数に関係なく先が見えない不安と疲労の中での病棟管理を行いながら,全て自ら考え決断しなければならない状況に苦悩を抱えていた.看護師長であっても,予防法や治療法が確立されておらず,先が見えない感染症の重症病棟を管理していくため,スタッフや師長自身の感染の危険から不安や恐怖を感じていたことが考えられた.また,全て自ら考え決断しなければならない状況に対しても,日々 COVID-19 の情報が更新されてくるため,自分が決断した内容が正しいか否か分からない状況に苦悩を感じていたと考えられた.