[口演S-8-4] 新型コロナウイルス感染症患者入院区域で防護服の違いで感じる看護師の負担比較
Keywords:新型コロナウイルス感染症、COVID-19防護服、看護師、負担
【目的 】A 病院では新型コロナウイルス感染症(以下 COVID-19)患者対応時、ビニール製の既製品長袖ガウン(以下、ビニールガウン)と撥水性のある不織布製の長袖ガウン(以下、不織布ガウン)、防護服の不足時に代替品として用意したビニール製の雨合羽(以下、代替品)を防護服として使用している。いずれも院内の ICT 基準を満たしたものを使用している。COVID - 19 患者の看護は精神的負担を伴うが、その上で防護服を長時間装着するため身体的負担も大きい。本研究では看護師の負担軽減を目的に、COVID-19 患者入院区域で防護服の違いで感じる看護師の負担を比較した。【方法】防護服はビニールガウンと不織布ガウン、代替品の 3 種類で比較した。対象は COVID-19 患者の看護にあたった A 病院所属看護師 25 名とし、入院区域への入室前後に自記式質問紙調査を行った。入室時間帯と連結可能匿名化で対象者を揃え、偏りが生じないようにした。質問紙では快適度を Visual Analog Scale(以下、VAS)、爽快感・疲労感を含む 5 つの因子を気分調査票測定し、各防護服に関する感想については自由記載欄を設けた。各尺度は SPSS® で正規分布のものには対応のある t 検定を、非正規分布のものにはウィルコクソンの符号順位検定を行った。自由記載に対してはカテゴリー分類を行った。対象者には研究への参加協力は自由意思であり、拒否権とプライバシー保護について文書で説明し、同意書への署名を得た。【結果】全ての防護服で入室前に比べて退室後に快適度が有意に低下した。ビニールガウンでは退室後に爽快感が有意に低下し、軽度の暑さ等の感想が多かった。不織布ガウンは全因子で退室後に有意差はなく、汗が少ない・着心地が良い等が多かった。代替品は退室後に爽快感が有意に低下、疲労感が有意に上昇し、汗が多い・着心地が悪い等が多かった。【考察】退室後に全ての防護服で快適度が低下したため、看護師の負担は増大していた。爽快感が低下する原因に、ビニール素材の暑さの感じやすさが考えられた。そして、着心地は疲労感に影響する可能性があると考えられた。以上のことから看護師の負担を最小限に抑えるには可能な限り不織布ガウンの使用が望ましい。しかし既製品の防護服が不足となった際代替品を使用することもやむを得ない状況となる。今後、負担の軽減方法を検討していく必要がある。