第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

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口演

口演8群 新型コロナウイルス感染症下の看護管理

Fri. Sep 2, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 口演会場2 (204)

座長:原 理加

[口演S-8-3] 新型コロナウイルス感染病棟で勤務していた看護師のストレスと要望

中野 裕美, 荒木 有里, 佐々木 佐智江 (福井赤十字病院)

Keywords:新型コロナウイルス感染症、ストレス、要望サポート、テキストマイニング

【目的】新型コロナウイルス感染患者に対応する看護師が、どのような組織的対応を望んでいたかを明らかにする。【方法】A 病院新型コロナウイルス感染病棟において対応した看護師第 1 波 24 名、第 2 波 25 名に対し 14 項目の質問紙を用い 1.患者に対応したときに感じたストレス 2.同僚や病院に対する要望について、選択および自由記述により回答を求めた。自由記述で得られた回答をテキストマニングを用いて分析した。(樋口耕一氏が開発及び配布している KH Coder Ver. 3.Beta.04a を使用)。A 病院倫理審査委員会において承認を得た(承認番号 R3-7-33)。【結果】自由記述を構成している単語同士の関連性を検討するため、クラスター分析を施した。C1. コロナ病棟勤務希望の確認 C2. コロナ病棟勤務で抱いた感情 C3. 感染の恐怖や不安 C4. 勤務体制に関する思いや要望 C5. 風評被害や変化する感染対策のつらさ C6. 看護に専念するために必要な他職種への要望 C7. 医療物資の確保と業務内容の確立 C8. 疑似患者対応に関する思いや要望、の合計 8 個のクラスターに整理された。次に、コロナ病棟で勤務を続けたいという希望と、明らかにしたクラスターとの関連性を検討した。「勤務できる」という回答は、C2 とのみ関連していた。そこで C2 の構成要素を詳しく調べるために共起ネットワーク図を描画した。C2 は大きく 9 個の要素から構成されていた。防護や安全確保ならびに応援など勤務体制を整えることに関することに加えて、看護師間の団結や信頼感、勤務の見通しがつくかどうかなどの要素が挙げられた。【考察】看護師が経験したストレスとして、感染に対する恐怖や不安が常にあり、看護師自らの安全確保を重要視する特徴があることが確認された。ストレスの関連要素として、風評被害、他職域の協力の必要性、他部署からの応援体制の確立などが整理された。看護師が抱えていた要望は、ストレスと同様に多様であった。対象となる看護師が抱えているストレス、具体的には感染管理対策の確立、安全確保の体制作り、防護服の充実を確認することが組織のサポートとして効果を発揮すると考えられる。勤務継続希望と他職種の協力や安全確保できる管理体制など病院の体制作りが強く関連していたことから、これらを改善し維持することが、看護師の勤務意欲を維持するうえで重要であることが明らかになった。