[口演S-8-2] 新型コロナウイルス感染症患者担当の是非と看護師の職務満足度 4 因子との関係
Keywords:新型コロナウイルス感染症、職務満足度、担当看護師
【目的】新型コロナウイルス感染症患者(以下、コロナ患者)対応している医療従事者は、感染のリスクと不安を抱えながら業務している。今回、看護師を対象に、コロナ患者対応について看護師の職務満足度 4 因子を含めた意識調査を行い、今後コロナ患者を対応する看護師確保に向けての示唆を得たので報告する。【方法】2020 年 11 月に、A 県で第 1 波、2 波、コロナ患者を受け入れた施設の看護師を対象にアンケートを実施した。調査内容は、性別・年齢などの属性情報、コロナ患者を今後担当するかしないかなどの独自の質問(以下、コロナ質問)63 項目、看護師の職務満足度測定尺度(以下、職務満足度)4 因子 28 項目(撫養,2014)とした。コロナ質問内の設問「今後コロナ患者を担当するか」の是非と職務満足度の関係について対応のない t 検定を行い、検定の多重性を考慮し Bonferroni 法にて有意水準を調整し(0.05/4=0.0125)、効果量は Hedge’s g を算出した。なお本研究は、A 県の令和 2 年度新型コロナウイルス感染症研究推進事業(保第 744 号)として委託を受け、B 施設の倫理審査承認後実施した。【結果】アンケートは 12 施設 2712 部配布し、2296 部回収(84.7%)、有効回答数は 2291 部(84.5%)であった。30 代・40 代が多く 1315 名(57%)であった。また、「今後コロナ患者を担当する」は 903 名(39%)、「担当しない」は 1340 名(59%)、無回答 48 名で、「今後コロナ患者を担当する」「担当しない」の 2 群間で職務満足度 4 因子について比較した結果、すべての因子において差を認めた(p<0.001)。効果量については、因子 1「職場での自らの存在意義」(g= 0.15)、因子 2「働きやすい労働環境」(g= 0.20)、因子 3「上司からの適切な支援」(g= 0.19)、因子 4「仕事に対する肯定的感情」(g= 0.21)であった。【考察】今後コロナ患者を「担当する」と回答した人は、「担当しない」と回答した人に比べて、特に「仕事に対する肯定的感情」と「働きやすい労働環境」因子において違いを認めた。このことから、今後コロナ患者を対応する看護師を養成するにあたり、専門職としての仕事に対する承認やモチベーションの維持向上を目指した人材育成、働きやすい職場環境の整備に対する支援が重要であると考える。