第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演12群 看護職間・他職種との協働②

2023年11月8日(水) 15:45 〜 16:45 第8会場 (G314+G315)

座長:井戸沼 由美子

[口演Y-12-6] 中規模病院での術後疼痛管理チーム導入後における看護師の意識調査

石川 みき (佐々木研究所附属杏雲堂病院)

キーワード:チーム医療、術後疼痛管理、看護業務

【目的】中規模病院における術後疼痛コントロール管理チーム活動開始後に当該病棟看護師の新たな負担に対する意識の調査を行い、チーム体制の意義を確立する。【方法】1.2022 年11 月1 日より開始した術後疼痛管理チーム活動を以下に記載。①活動開始前、全職員に対し活動内容についての講習会を実施。②クリティカルパス(以下パス)中に、定期鎮痛剤および制吐剤投与のオーダーを追加した。パス以外は、その都度追加薬剤オーダーする事を外科系医師へ周知した。③術前日からの疼痛評価は、A 病院管理チームで取り決めた1 段階毎の言語表示で統一化したNRS(Numerical Rating Scale)を用いて11 段階(0 ~ 10)、安静時・体動時の2 パターンで評価した。2.活動開始後、当該病棟看護師の意識調査を匿名で実施した。【結果】1.パス症例における薬剤投与とNRS 評価は実施漏れなく行えたが、パス以外の症例における薬剤投与とNRS 評価は、医師オーダー未指示や看護師未記載があった。NRS 5 以上を鎮痛剤追加症例とし、チーム活動介入前後における術後追加鎮痛剤使用頻度は、チーム介入後で1/5、PONV 発症頻度は1/3 へと減少した。2.当該病棟看護師のアンケート結果①術後疼痛管理チーム活動開始後の業務負担は、『増えた52%』、『変化なし26%』、『減った0%』、『無回答22%』であった。増えた理由は、「点滴の投与回数が増えた」「未オーダーや入力忘れの確認が負担」、変化なしの理由は、「チーム介入以前の臨時追加鎮痛剤等使用量と介入後定期的使用量に変化を感じない」「定着していくにつれて負担は感じなくなってきている」であった。②チーム活動介入後の疼痛管理効果は、『ある68%』、『ない5%』、『どちらでもない5%』、『無回答22%』であった。『ある』の理由は、「疼痛コントロールされた」「NRS に統一した事で患者との痛みの認識がしやすく、疼痛評価が安易になった」であった。【考察】術後疼痛管理チーム開始後に行った結果から、チーム活動の意義への理解不足により、看護師の多くが業務負担増加を主に感じている事が分かった。新規の活動を開始する上で円滑な業務を遂行するためには、今後も定期的なアンケート調査を行い、その結果に沿った調整や教育を行う事で、疼痛コントロール管理活動の意義を共有して行く必要があると考えた。