第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演15群 高齢者、認知症の人の看護②

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 第9会場 (G316+G317)

座長:長瀬 佐知子

[口演Y-15-3] 高齢者が胸腰椎圧迫骨折により在宅療養を困難にしている要因

山田 真由, 飯野 香 (深谷赤十字病院)

キーワード:脊椎圧迫骨折、在宅療養、高齢者

【目的】胸腰椎圧迫骨折患者は、在宅療養の継続困難を訴え入院を希望することがある。しかし3次救命救急センターであるA病院では安静療法のため、入院の受入れが困難な現状がある。そのため、高齢者が胸腰椎圧迫骨折受傷後、在宅療養の継続を困難にする要因を明らかにすることで、整形外科外来における在宅療養への支援方法の一助とする。【方法】インタビュー実施期間は2022年8月~11月。実施3ヵ月以内に、胸椎または腰椎圧迫骨折の診断を受け、在宅療養の経験がある患者で、受傷前、日常生活動作が自立していた4名を対象として質的記述的研究を行った。半構成的面接法を用い質問をして、データを逐語録に起こしカテゴリー分類を行った。A病院看護研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。(承認番号2023104)研究への協力は自由意志であり、情報は研究のみに使用することを説明し、体調と受傷による疼痛に十分配慮し行った。【結果】高齢者が胸腰椎圧迫骨折により在宅療養を困難にしている要因は、10のサブカテゴリーと4つのカテゴリーに分類された。在宅療養を困難にする直接的な要因として〈疼痛の増強による療養生活に限界がある〉、環境的要因として〈在宅療養のための環境が整っていない〉、人的要因として〈家族・友人からの支援が限られる〉及び〈患者自身に回復を妨げる因子がある〉ことが明らかとなった。【考察】胸腰椎圧迫骨折の患者は、在宅療養において環境と人的支援が整っている事が必要である。しかし、高齢者人口の増加と核家族化による介護量や介護力不足により、患者が無理をして動いてしまう状況が疼痛を増強させてしまっている。患者は、痛みによる動作が制限される事が増え、排泄や食事等の生理的な活動が困難になる事で、在宅療養に限界を感じる事になっていくと言える。外来看護師は、家族の介護量と介護力のアセスメントを行い、支援の提案をすることや、療養方法の指導は、言葉だけでなく資料等を用い家族を巻き込む事で、理解を深めるように関わることが必要である。患者の療養状況を家族やケアマネージャーを通して確認し、連携することで、適切なタイミングで速やかに利用出来る様に取り組みをしていく必要があると考える。