第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演16群 高齢者、認知症の人の看護③

Wed. Nov 8, 2023 3:45 PM - 4:45 PM 第9会場 (G316+G317)

座長:野村 佳香

[口演Y-16-1] 夜間不眠がある認知症患者への看護介入

―日々の生活リズムを整える関わりを通して―

軽部 咲希, 上矢 奈美江, 櫻井 良子 (かわさき記念病院)

Keywords:アルツハイマー型認知症、生活リズム、夜間不眠

【目的】認知症患者の睡眠障害の原因を明らかにし、日常生活での介入により睡眠障害が改善されることを目的とする。【方法】院内倫理審査委員会の承認後、研究の主旨と個人情報の取り扱いについて、キーパーソンに口頭及び書面にて説明し同意を得た。事例紹介 実施期間:20XX年X月X日~X月X日までの7週間 対象:90歳代 女性 現病歴:アルツハイマー型認知症 過活動膀胱 HDS-R:11/30点、MMSE:11/30点 入院当初は頻回に大声でスタッフを呼び止め、夜間は中途覚醒すると数時間に渡り再入眠が困難になっていた。研究デザイン:事例研究 まず現状を把握するため中途覚醒時の様子や訴えの内容を30分毎に記録した。次にこの結果を踏まえた上で、改善方法を検討し看護を実践した。①決まった時刻に午睡 トイレ誘導 入床を促して生活リズムを整える ②夜間は静かな環境を作る ③再入眠困難時は傾聴やタッチングを行う 眠前薬はロゼレムからデエビゴに変更。研究の意義:認知症患者の睡眠障害の原因を明らかにし、日常生活での介入を行う事で睡眠障害が改善され穏やかに過ごせることが期待される。【結果】観察すると、睡眠時間は2~9時間とばらつきがあった。また、次の問題点が挙げられた。①多い日で9回のトイレ覚醒がある ②足音や物音で覚醒し、何時間も再入眠が困難となる ③中途覚醒後は不安言動が多い。介入後は、日中の傾眠は継続するも夕方以降は減少した。介入1週間後、トイレ覚醒が平均5回から3回まで減少し、中途覚醒の回数も減少した。また、睡眠合計時間は6~10時間と増加した。日中は他患者との会話が増え穏やかな表情で過ごすようになった。【考察】厚生労働省の「生活習慣病予防のための健康情報サイト」によると、高齢者は様々な要因により中途覚醒を来たしやすい。また、前野らは、認知症患者のBPSDが生じると睡眠の障害に繋がると述べている。対象患者に対し、介入時間の統一、静かな環境作り等の環境調整を実施したことが、睡眠時間の増加につながったと思われる。また、不安感情に対しては心身的な関わりをすることで中途覚醒時間の減少、睡眠時間の増加につながったと考えられる。これらのことから、認知症患者であっても日常生活の介入により生活リズムが整い、睡眠障害を改善でき、精神状態の安定、穏やかな生活を送ることが可能であると考えられる。