第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演16群 高齢者、認知症の人の看護③

Wed. Nov 8, 2023 3:45 PM - 4:45 PM 第9会場 (G316+G317)

座長:野村 佳香

[口演Y-16-2] 軽度・中等度認知症を有する整形外科術後患者に対するリアリティオリエンテーションとレクリエーションの併用実施の効果

田村 啓, 森脇 みさお, 南田 喜久美 (京都九条病院)

Keywords:認知症、リアリティオリエンテーション、レクリエーション、せん妄

【目的】軽度・中等度認知症を有する整形外科術後患者に対するリアリティオリエンテーション(以下RO)とレクリエーション(以下レク)の併用実施の効果を明らかにし、急性期病棟での導入の有用性と課題を考察する。【方法】対象:軽度・中等度認知症を有する整形外科術後患者21名、N式老年者用精神状態尺度(以下NMスケール)の合計点が17~42点の同意が得られた者とA病棟の看護師29名。RO:毎日のスケジュール表を用いて予定を対象者と確認した。レク:週3回30分程度、認知機能の維持を目的に実施した。データ収集方法:NMスケールを入院前、入院時、退院時(転棟時)に点数化した。術後1日目から集中治療せん妄スクリーニングチェックリスト(以下ICDSC)を判定した。看護師には認知機能やせん妄への効果、ROやレクリエーション方法の課題を質問紙調査した。分析方法:NMスケールは入院前と入院時、退院時(転棟時)の3群を平均値で一元配置分散分析を行った。ICDSCは、術後1日目と7日目の平均値でt検定を行った。看護師が知覚する認知機能やせん妄への効果、ROやレク方法の課題を意味内容の類似性に基づき分類し、カテゴリ化した。倫理的配慮:対象者と家族に研究目的、参加の自由、プライバシー保護、学会発表の予定等を説明し同意を得た。また、B病院看護部の倫理審査で承認を得た。【結果】NMスケールは、入院前と退院時を比較し、19名(90.5%)が会話、記憶・記銘の項目で得点低下がなかった。家事・身辺整理はどの3群間においても有意に低下した。ICDSCは意識レベルの変化、精神運動的な興奮あるいは遅滞、睡眠・覚醒サイクルの異常、症状の変動で有意に低下した。看護師が知覚する認知機能への効果は〈認知機能低下予防や維持、改善になる〉他、計4カテゴリを形成した。せん妄への効果は〈せん妄症状の軽減になる〉他、計6カテゴリを形成した。課題はレクに時間が掛かる、レクの内容に飽きた等の〈簡便で継続できるものが必要である〉や、性格や好みに合わせた等の〈個別性を捉えた関わりが必要である〉他、計6カテゴリを形成した。【考察】NMスケールでは会話、記憶・記銘の項目で約9割に得点低下がなく、せん妄発症者も減少した。ROとレクの併用は認知機能の維持や低下予防に繋がった。課題は、簡便で継続可能なもので、個別性を捉えれるよう検討していく。