第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

Presentation information

口演

口演16群 高齢者、認知症の人の看護③

Wed. Nov 8, 2023 3:45 PM - 4:45 PM 第9会場 (G316+G317)

座長:野村 佳香

[口演Y-16-3] 認知症ケアに対する取り組み

―認知症ケアリンクナース会を通して―

森田 香織1, 須原 由紀1, 三鬼 達人1, 相原 晶子1, 須釜 淳子2 (1.藤田医科大学ばんたね病院, 2.藤田医科大学保健衛生学部看護学科)

Keywords:認知症看護、認知症ケアチーム、認知症ケア加算

【目的】A病院では、2022年6月に認知症認定看護師(以下DCN)が不在となった。病院の影響としては、認知症ケア加算(以下、ケア加算)1から2へ移行する必要性が生じた。看護としては、認知症患者への看護の質の低下が危惧された。そこで、認知症看護の質が低下しないことを目的に、認知症ケアリンクナース会を通して対策を講じたので報告する。【方法】ケア加算1が専任医師とDCNを中心とした認知症ケアチームの活動であるのに対して、ケア加算2では、認知症ケアチームの設置は求めないが、専任医師の他に、各病棟に「適切な研修を受けた看護師」が3名以上配置の必要があり、病棟単位での活動を要件としているため、以下について取り組んだ。1)研修受講計画2)マニュアル改訂3)病棟の取り組み、病棟単位での目標と取り組み計画立案、病棟カンファレンスの開催4)認知症ケア加算モニタリング【結果】1)研修受講計画を立案し、24名が研修受講終了した。2)ケア加算1から2へ移行するため、マニュアルの改訂を行った。3)病棟の取り組み(1) 身体拘束の軽減を最低条件とし、病棟の特徴に合わせた計画の立案や、音楽鑑賞や他のリンクナースと共に口腔ケアや入浴介助などの関わりを行った。身体拘束件数は、4月21件、12月13件と減少した。2) 病棟カンファレンスは毎週木曜日に全病棟で統一し、専任医師と研修修了者とともに病棟看護師へ対策や方向性の助言を行った。また、DCN在籍時のカンファレンス件数が平均116.3回/月に対し、201.8回/月と1.7倍の増加を認めた。4)認知症ケア加算算定について100%を目標にモニタリング。DCN退職前の加算入力率は88.5%であったが、98.1%まで上昇した。【考察】認知症ケア加算の要件には、「認知症による行動・心理症状や意思疎通の困難さが見られ、身体疾患の治療への影響が見込まれる患者に対し、病棟の看護師や多職種が適切に対応することで、認知症症状の悪化を予防し身体疾患の治療を円滑に受けられること」とされている。今回、DCNが不在となることで、認知症ケアの質の低下が危惧されたが、リンクナースが中心となって認知症看護に取り組むことで、病棟単位で関わりを手厚くできた。今回の取り組みにより、「認知症看護を展開していくことは楽しい」と前向きの発言が聞かれ、モチベーションアップにつながったと考える。