第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演17群 精神看護①

2023年11月8日(水) 10:30 〜 11:30 第10会場 (G318)

座長:中澤 範子

[口演Y-17-4] 急性期の自殺未遂者に携わる看護師の態度と看護実践や看護師連携との関連

―救急部・集中治療部・精神科病棟の三部門の比較より―

東脇 秀樹1, 山崎 久美子1, 畠 稔1, 今西 功一1, 吉田 竜1, 南堀 直之1, 乾 早苗1, 長山 豊2 (1.金沢大学附属病院, 2.金沢医科大学)

キーワード:自殺未遂者、看護師態度、看護実践、看護師連携、情報共有

【目的】救急搬送された自殺未遂者に携わる、救急部、集中治療部、精神科病棟の看護師の自殺未遂者に対する感情・態度は看護実践や看護師間の連携に影響すると考えられるが、どのように異なるのかを検討する。【方法】A病院救急部、集中治療部、精神科病棟の看護師を対象とし、無記名・自記式質問紙調査により調査を行った。質問紙は属性と3尺度からなり、属性として、1)対象者の背景、2)自殺未遂者に対する看護実践、3)看護師間の連携(情報共有)に関する項目を用い、尺度として、精神障害者に対する社会的距離尺度(社会的距離)、自傷行為に対する反感態度尺度日本語版(SHAS-J)、自殺未遂患者に対する看護師の態度尺度(NASSA)を用いた。属性につきkruskal-Wallis検定にて3群間の比較を行なった上、属性と尺度につきSpeamanのρにて相関解析を行い、3群間の関わり方を検討した。また、3群の看護師間で尺度に差があるかをKruskal-Wallis検定にて比較した。【結果】質問紙の回収率は78.6%、有効回答率98.2%であった。属性では3群間で、看護師経験年数、TALKの原則の実践等多くの項目で有意差を認めた(p<0.01)。患者の課題対応能力・コミュニケーションスキルの確認など3項目が救急部に比べ集中治療部と精神科病棟で高かった(p<0.01)。社会的距離では救急部と集中治療部間において有意差を認めた(p<0.01)。尺度の3群間比較で、社会的距離では有意差を認めず、SHAS-Jでは救急部と集中治療部に比べ、精神科病棟で有意に低かった(p<0.01)。またNASSAでは、救急部が有意に低かった(p<0.01)。尺度と属性項目との関連性で、SHAS-JではTALKの実践、患者の状況確認、希死念慮の有無、自殺企図の背景確認などの実践項目と、対応力支援力と基礎情報の共有など情報共有項目との間に正の相関があった。【考察】自殺未遂者に関わる3群の看護師は、看護師経験年数や実践等につき、異なる属性を持つ集団であることが分かった。A病院ではこれらの部署間での異動はほとんどなく、この差は其々の部署での経験に由来すると考察される。救急部は他の部署と変わらない距離感で関わっているが、精神科病棟の看護師よりも関わりをストレスに感じ、集中治療部・精神科病棟の看護師よりも否定的・消極的態度で接していた。