第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演20群 住み慣れた地域に戻ることへの支援②

2023年11月8日(水) 15:45 〜 16:45 第10会場 (G318)

座長:南里 玲子

[口演Y-20-3] 就労継続支援A型事業所における医療連携体制導入後の考察

谷 雅子 (はんなりと)

キーワード:就労継続支援A型事業所、情報共有、医療連携体制

【目的】就労継続支援A型事業所において医療連携体制導入による利用者への影響を振り返り考察する。【方法】医療連携体制として医療的支援が必要な利用者に同意を得た上で主治医から指示を受け個別支援計画を立案、事業所職員である看護師が看護を提供し評価を行うという方法を取った。調査方法は利用者に対する聞き取り調査。倫理的配慮として利用者に調査の趣旨を説明し得られた情報は個人を特定できないよう配慮すること及び調査への参加はいつでも拒否できること断っても何ら不利益の生じないことを説明し同意を得た。【結果】利用者Aは妄想や幻聴がみられた。作業中に落ち着かない表情となったため面談を行ったところ、周囲の人が自分を否定していると感じているとわかった。傾聴し、できていることを認めることで落ち着きを取り戻した。本人は話を聞いてほしい時に聞いてもらえることが安心につながると述べている。また、自己休薬していると他の職員から情報を得たことから薬への思いを聞き、薬の効果について説明することで服薬継続につながった。職員には症状への対応と本人の薬のとらえ方を情報共有した。利用者Bは便秘がみられており、昼食状況を観察するとロールパン数個のみであった。家庭での食事は野菜や食物繊維はほとんど摂らないとのことであったため、排便を促す食事について説明すると共に弁当を作ることを提案した。以来毎日弁当を持参するようになり、本人は早く起床し弁当を作ることが自信となっていると述べている。利用期間中に身体的疾患により手術を受けた利用者Cに対しては、心身両面の観察と共に疼痛を最小にする姿勢や動作の工夫等を行った。本人と職員にも術後の注意点等を情報共有することで安全に就労できている。【考察】思いを傾聴すること、薬の効果や便秘と食の関係及び術後の注意点等の説明と情報共有により、不安の軽減や生活リズムの確立、安全な就労に繋がった。疾患や症状をふまえて一人一人の作業や就労状況に応じた支援をすることが大切と考える。また、作業中の表情の変化から利用者の思いを知ることに繋がったことや、食事時の観察から問題点を発見できたことから、看護師が事業所職員であったことで些細な変化に気付くことができ、具体的なアセスメントや支援の適時性につながったと考える。今後はさらに、職員間でのアセスメントの視点と方法及び用いる言語や尺度の統一と共有を図っていきたい。