第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演20群 住み慣れた地域に戻ることへの支援②

Wed. Nov 8, 2023 3:45 PM - 4:45 PM 第10会場 (G318)

座長:南里 玲子

[口演Y-20-5] 在宅酸素療法利用患者に対する指導の現状

三木 和可奈, 小田 枝里 (大分赤十字病院)

Keywords:在宅酸素療法、指導、継続看護

【目的】A病院B病棟は呼吸器センターであり、在宅酸素療法(以下HOT)導入目的で入院する患者や入院中にHOT導入が必要になる患者、導入後の療養生活で呼吸状態が悪化し再入院する患者がいる。B病棟でのHOT利用患者に対する指導は、在宅酸素業者からの説明が中心となっており、病棟看護師からの具体的な指導はできていないのではないかと感じていた。そこでB病棟でのHOT利用患者に対する病棟看護師の指導の現状を明らかにすることを目的とし本研究に取り組んだ。【方法】A病院B病棟に所属する看護師を対象とし、在宅酸素業者が使用しているパンフレットの指導項目を参考に質問紙を作成した。〈費用〉〈装置場所〉〈補助製品〉〈外出〉〈宿泊〉〈災害〉〈生活背景〉〈相談窓口〉についてどのような指導を行っているか質問し、回答を集計した。倫理的配慮として、質問紙は無記名、回答は自由意志とし、調査の参加の有無で不利益を被らないことを書面にて説明した。【結果】B病棟の看護師23名に質問紙を配布し22名の回答が得られた。集計の結果、全員がHOTに関する指導経験があるにもかかわらず、〈十分な指導ができている〉と回答した者はいなかった。また、「HOTについて患者より質問や相談をされたが知識不足で対応に困った」「指導に自信がない」という回答もあった。〈指導した〉と回答した人数は、〈費用〉0名、〈装置場所〉15名、〈補助製品〉4名、〈外出〉15名、〈宿泊〉1名、〈災害〉3名、〈生活背景〉18名、〈相談窓口〉3名という結果が得られた。8項目すべてにおいて〈指導経験がある〉と回答した者はいなかった。【考察】看護師がHOTに対する指導をする上で、〈装置場所〉〈外出〉〈生活背景〉のように看護師が病棟で行っている業務に近い項目は指導できている。一方、〈費用〉〈補助製品〉〈宿泊〉〈災害〉〈相談窓口〉のような看護師が日々の業務で関わる機会があまりない項目は、指導できていないことが分かった。また、看護師個々で知識の差があり、そのことが指導内容の違いにも繋がっていることが分かり、統一した指導ができていない現状が明らかになった。継続的かつ個別性のあるHOTの指導を行うためには、様々な面でHOTに対する知識が求められる。患者に適切な指導を実施するために、指導内容の標準化を図れるようなツール作成を行っていく必要があると考える。