第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演20群 住み慣れた地域に戻ることへの支援②

Wed. Nov 8, 2023 3:45 PM - 4:45 PM 第10会場 (G318)

座長:南里 玲子

[口演Y-20-6] 在宅療養を強く希望する上大静脈症候群患者における通院での緩和照射時の看護

永堀 美幸1, 大根田 梨華1, 宍倉 優子1, 角田 直枝2 (1.茨城県立中央病院, 2.常磐大学看護学部)

Keywords:上大静脈症候群、緩和照射、在宅療養

【目的】予後不良である肺がんによる上大静脈症候群(SVC)に対する緩和照射を、通院で治療した事例を経験した。治療終了後3 週間で急激に病状が憎悪し救急搬送となり入院後短期間で死亡した。本研究は、通院による緩和照射を受ける患者への看護の向上に活かせるよう、在宅療養を支えるための介入や連携を振り返り、よりよい看護を明らかにすることを目的とする。【方法】事例研究とし、診療記録から患者の言動や看護介入を抽出し、分析は研究者間で質的な分析と文献による考察を行った。本研究にあたり、遺族の承諾を得た上で、研究者の所属機関の倫理委員会で承認を得た。【結果】1.事例の紹介、A 氏(70 歳代)は肺がん術後再発に対し対症療法を行っていた。SVC により顔面と上肢の浮腫が著明となりPS 2 となったため、緩和照射を3 グレイ× 12 回で実施された。呼吸状態や全身症状の悪化なく、浮腫も改善傾向で治療を完遂した。治療終了2 週間後,症状の増悪とPS の低下によりPCU 登録をした。治療終了3 週間後、医師から入院を勧められたが、在宅療養の意思が強く帰宅した。しかし同日救急搬送され、PCU 入院となり、4 日目に死亡退院となった。家族は4人で、日中は妻と2 人であった。2.看護介入、A 氏は放射線科初回診察時に呼吸困難の訴えはなく、本人は当初治療を希望しなかったが、妻の説得により緩和照射を通院で実施することになった。看護師は診察に同席し、治療開始前に医療相談室利用を促した。その結果、在宅療養に必要な情報提供を受けたがA 氏は利用を希望しなかった。治療中、看護師は症状の悪化に注意し、自宅での体調観察を妻に依頼した。放射線技師と情報共有し、労いの言葉を患者・家族へ伝えた。【考察】PS が低い状態で緩和照射を受ける患者が希望する在宅療養を継続するには、症状緩和や介護負担の軽減のために、早期の訪問看護や在宅医療の導入が必要であるとされている。そのためには、緩和治療開始前の情報提供に加え、治療開始後にも、細かい変化を発見し、自宅での生活や今後の希望を把握できるよう多職種で介入していくことが求められる。在宅療養の希望に沿った介入のためは、より細かい体調観察や希望の把握のために緩和ケアチーム等へ支援依頼を行うとともに、外来看護師間やPCU と情報共有することが必要であることが明らかになった。