第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演21群 健やかに生まれ育つことへの支援①

Wed. Nov 8, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 第11会場 (G319)

座長:蛎﨑 奈津子

[口演Y-21-4] A病院における経腟分娩後フローチャートを使用した排尿管理についての検討

深尾 郁子 (福井赤十字病院)

Keywords:経腟分娩後、尿閉、排尿障害、排尿管理

【目的】経膣分娩後排尿障害対策のためのフローチャート(以下フローチャートとする)を使用し、経腟分娩後の排尿管理におけるスクリーニングの有用性の検証を目的とする。フローチャート使用により、経経腟分娩後排尿障害の早期発見と排尿管理の統一を図る。【方法】A病院で経腟分娩した褥婦159人のフローチャート使用結果、電子カルテより情報を収集する。分析方法は、単純集計と経腟分娩後排尿障害の有無で2群に分類し、カイ2乗検定を実施した。統計学的分析は、Excel2019を用いた。研究の趣旨、協力依頼の内容、自由参加の権利、匿名性の確保の方法、協力による影響について説明し、文書で同意を得た。【結果】褥婦159人中「排尿障害あり」は61人(38.4%)であった。「排尿障害あり」群において、初産婦に有意差がみられた(p<0.01)。排尿障害を認めた61人中43人(70.5%)がスクリーニング項目のいずれかに該当したが18人(29.5%)が該当しなかった。経腟分娩後6時間以内に自尿がない尿閉は48人(30.2%)残尿50ml以上は46人(28.9%)尿失禁は3人(1.9%)重度の頻尿は1人(0.6%)であった。「排尿障害あり」群と「排尿障害なし」群とで、各項目についてカイ2乗検定を行った結果、「児の出生体重3500g以上」が「排尿障害あり」に有意差を認めた(p<0.05)。すべての褥婦のうち、自尿、尿意、尿勢のいずれかが「なし」であったのは80名(50.3%)であった。いずれかが「なし」となった80名のうち、排尿障害ありは60名であった。「自尿・尿意・尿勢の内1つでもなし」群は、「排尿障害あり」に有意差を認めた(p<0.01)。【考察】A病院では文献報告よりも排尿障害が多い結果であり、何らかの介入が必要であることが明確になった。また、スクリーニング項目での排尿障害の予測は、「排尿障害あり」群の18人(20.8%)が抜け落ちてしまうということから、排尿障害の有無を選別することに有効ではなかったと考える。自尿・尿意・尿勢のすべてがありの場合と1項目以上なしの場合では、「排尿障害あり」に有意な差を認めたことは、排尿障害に関する観察視点として、自尿・尿意・尿勢の観察が重要となることを示唆している。加えて初産婦、児の出生体重3500g以上のチェックができるものに修正し、検証を行っていく必要がある。