[口演Y-26-6] 術後せん妄のリスク因子同定
―スクリーニングツールの作成にむけて―
Keywords:術後せん妄、スクリーニングツール、せん妄アセスメントシート
【目的】せん妄予防対策を実施するために、現在よりさらにハイリスクな患者を選定するスクリーニングツールの作成にむけて、術後せん妄のリスク因子を同定することを目的とした。【方法】2019年4月から9月にA病棟で手術を行った240例(男性80名、女性160名、平均年齢67歳)で検討した。検討項目は麻酔方法、麻酔時間、手術時間、糖尿病、高血圧、心疾患、脳血管疾患、精神疾患、認知症、せん妄歴、ドレーン、術後嘔気、眠剤、不安表出、居住地、アルブミン値、年齢、身長、体重を使用した。分析方法はフィッシャーの正確確率検定、マンホイットニーのU検定を用いて統計解析を行った。本研究では、医療機関情報及び患者の個人情報を匿名加工することによって、患者が特定されないように配慮して行った。【結果】調査対象240名に対し、術後せん妄を発症した人数は25名であった。麻酔方法、糖尿病、高血圧、心疾患、脳血管疾患、精神疾患、認知症、せん妄歴、ドレーンの有無、術後嘔気、眠剤、不安表出、居住地の項目はフィッシャーの正確確率検定にて統計解析を行い、脳血管疾患、せん妄歴がある患者と眠剤使用患者で統計学的有意差に術後せん妄が多く生じた(p<0.05)。麻酔時間、手術時間、アルブミン値、年齢、身長、体重の項目はマンホイットニーのU検定にて統計解析を行い、低アルブミン、高齢、低身患者で統計学的有意に術後せん妄が多く生じた(p<0.05)。【考察】今回得られた術後せん妄リスクの中で、術前に介入して改善することができる因子は低アルブミンだけであった。術前に栄養評価し、栄養状態を改善することで、術後せん妄を予防することができることを示唆している。また、脳血管疾患、せん妄歴、眠剤、低アルブミン値、高齢、低身長の項目に有意差が認められたため、この項目を活用し入院後の新たなスクリーニングツールを作成、活用していきせん妄ハイリスク患者を選定していく。今後症例を増やし、リスク因子を確定し、術前、術後の周術期におけるせん妄患者管理を行なっていきたいと考えている。