第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演26群 せん妄への対応

Thu. Nov 9, 2023 9:00 AM - 10:00 AM 第6会場 (G304)

座長:杉本 環

[口演Y-26-5] 回復期リハビリテーション病棟におけるせん妄の実態調査

池田 真美 (明生リハビリテーション病院)

Keywords:回復期リハビリテーション病棟、せん妄、認知症、高齢者、実態

【目的】A 病院は、2つの回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期病棟)からなるリハビリテーション病院である。A 病院では2020 年6 月から認知症ケア加算2 の算定を機に、週1 回の対応困難患者の巡回を行っている。筆者は、その中で巡回対象者にせん妄を発症しているケースが多いことに気づいた。しかし、先行研究では術後せん妄など急性期の報告が多く、せん妄ハイリスク患者ケア加算(以下、せん妄加算)も急性期を対象としている。本研究の目的は、回復期病棟におけるせん妄の実態を明らかにし、入院時からのせん妄予防・早期対応の必要性と課題を考察することである。【方法】本研究は、倫理委員会の許可を得ている。対象は、2021 年6月~ 7 月にA 病院に新規入院した患者70 名とした。病院管理者に許可を得てカルテや巡回記録から研究データを収集した。調査内容と分析方法は以下の通りである。1.入院時のせん妄の実態(せん妄リスク因子:せん妄加算リスク因子、せん妄の有無:DST、対応困難の有無)は記述統計分析、2.せん妄の有無と対応困難の有無の関係性はχ二乗検定、3.回復期病棟に特徴的なリスク因子はロジスティック回帰分析を行った。全過程において対象が特定できないよう配慮した。【結果】1.せん妄あり19 名(27%)。対応困難あり(10 名)のうちせん妄あり6 名(60%)。「対応困難あり-せん妄あり(6 名)」では、2 名が転院、4 名はリスク薬剤の調整や過剰な抑制の解除により軽快していた。せん妄リスク因子「認知症の有無」では、「せん妄あり-対応困難あり」100%、「せん妄あり-対応困難なし」61.5%。DST の「活動性の低下」では、「せん妄あり-対応困難なし」38.5%。2.有意差が認められた(P 値= 0.02、オッズ比5.42)。3.「認知症の有無」(P 値= 0.01、オッズ比5.68)、「リスク薬剤の内服の有無」(P値= 0.04、オッズ比4.14)に有意差が認められた。(有意水準P < 0.05)【考察】回復期病棟においても、1.入院時からのスクリーニングツールの使用、リスク因子同定、予防対策が必要である。2.せん妄の根本的な原因を早期に発見し対応することが必要である。3.今後の対応策としては、認知症・せん妄既往の患者が安心できる環境づくり、リスク薬剤の調整、疼痛コントロールなどの対策を検討していく必要性がある。