[口演Y-26-4] 病床の光暴露条件によるせん妄予防の効果
―DST(Delirium Screening Tool)を用いて―
Keywords:せん妄、光暴露、照度、DST
【目的】窓側病床と廊下側病床の光暴露条件の違いによるせん妄の発生率の差異を明らかにする。【方法】1. 研究対象者60 ~ 79 歳の大腿骨近位部骨折で緊急入院した、全身麻酔手術を受ける予定の患者。入院2 日目の朝までにせん妄出現のない事を確認し、2 日目の朝から研究対象とした。窓側あるいは廊下側から異なる環境にベッド移動した場合は研究対象外とした。入院からせん妄計画終了までの間を評価期間とし、術後48 時間せん妄が発症しなかった場合調査終了とした。2. 看護介入内容 緊急入院時、窓側に入院した患者をA 群、廊下側に入院した患者をB 群とし、朝6 時に窓のカーテンを開け、患者間のカーテンは閉めたままとした。3. データ収集方法 DST で評価を行った。4. 分析方法 DST のC 項目に該当する患者の有無を調べ、A 群とB 群のせん妄発症率を比較した。5. 倫理的配慮 本研究への参加協力は患者の自由意思で行われ、参加を拒否した場合も対象者に不利益を生じない事を説明した。研究で知り得た情報及び結果は研究目的以外に使用しない。A 病院看護研究倫理委員会の承認を得た。【結果】1. 研究実施前の準備 B 病棟の病室内各所の照度データを収集したところ、同じ病室内でも廊下側と窓側の照度は大きく差があることがわかった。2. 対象者の概要 本研究対象者はA 群2 名、B 群1 名の計3 名であった。3. 看護介入効果 DST のA7 項目全てにおいて「あり」と判定される患者はなく、せん妄を発症した患者はA 群・B 群ともに0 名であった。【考察】1. 対象者の概要 新型コロナ感染症による病棟閉鎖があり、対象者3 名のみの介入となった。2. 看護介入効果A 群及びB 群の患者ともにせん妄を発症することはなかった。A 項目の1つである「睡眠―覚醒のリズム」において障害ありに該当した患者はなく、その結果せん妄発症が見られなかったとも考えられる。また、今回3 名全て加齢と全身麻酔以外のリスク要因が無かったため、元々せん妄発症のリスクが低かったと考えられる。3. 結論 コロナ禍で緊急入院患者を対象とした看護研究を行う事は困難であった。光暴露によるせん妄予防効果は明らかにはできなかった。