第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演27群 意思決定支援

Thu. Nov 9, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 第6会場 (G304)

座長:安齋 由貴子

[口演Y-27-2] 終末期の壮年期食道癌患者の理解と意思決定支援事例を考察する

―病棟配属のがん看護専門看護師の立場から―

師岡 恵子 (北里大学病院)

Keywords:食道癌、意思決定、がん看護専門看護師、ACP、教育

【目的】終末期の壮年期食道癌患者の理解と意思決定支援事例をがん専門看護師の立場から考察する【方法】カルテから該当する記事を抽出し、文献を用いて実践内容を考察した。対象者が特定できないよう倫理的およびプライバシーに配慮した。【結果】1.患者の代弁者である受け持ち看護師の支援者となる 患者は、自身が思い描く治療と現実の病態のすれ違いから栄養管理と疼痛管理が難航していた。口数が少ない患者は近寄り難く、治療やケアに対して満足感が得られていなかった。関わり方に迷う病棟看護師(以下看護師)たちに不全感が生じるなか受け持ち看護師(以下受け持ち)は支えになりたいと寄り添い関係を構築していった。がん看護専門看護師(以下OCNS)として病棟に配属されていた私は、受け持ちが患者の代弁者として得てきた情報を、患者に携わる多職種の面々が共有できるよう記録やカンファレンスを介して働きかけた。2.患者の意思決定を支える 患者は時間をかけて自宅への退院を意思決定した。しかし、退院するための医療的処置は患者にとって受け入れ難いものであり葛藤が長期化した。看護師は退院準備が停滞し、時には後戻りすることに疲弊していた。患者のありのままを支えようと寄り添い続ける受け持ちは医療チームとの温度差に悩んでいた。受け持ちの気持ちが孤立しないようカンファレンス開催を提案し、長時間患者に携わる看護師の陰性感情を吐き出す場も設け、その感情に理解を示したうえで建設的なケアの方針を話しあえる場とした。また別日には病態を医師から、疼痛緩和について緩和ケアチームのOCSNから、患者の思いを受け持ちから話してもらい看護師の患者理解を促進できるよう努めた。【考察】看護師は患者の苦悩に寄り添いたいと願いケアリングを行う。この事例の受持ちは自らを代弁者としてかかわりを開始した。複雑な病態や患者の期待と医師の判断の狭間や、看護師との温度差に悩むこともあった。患者と患者の代弁者となった受け持ちを中心においたAdvance Care Planning (ACP)のプロセスであった。患者自身への理解や病態の理解が難しく、看護師が不全感や陰性感情を抱きやすかった。また、いち早く患者を理解していた受け持ちが孤立しやすい状況にあったため、患者と受け持ちの支援者となり続けたことで、受け持ちがケアリングを完遂できたと考える。