[口演Y-27-3] 訪問看護師が在宅療養者へ行なうACP実践の成果と課題
Keywords:アドバンス・ケア・プランニング、訪問看護師、在宅療養者、意思決定支援
【目的】在宅療養者と家族のニーズに合わせたアドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)を実施する体制を整備するため、訪問看護師が行なうACP 実践の成果と課題を明らかにする。【方法】202X 年7 月-11 月に、ACP を実施した療養者に対し、半構成的面接調査を行い質的記述的方法で分析した。倫理的配慮は、所属施設の倫理審査委員会の承認を得た。対象者に文書と口頭で説明し、同意書に署名を得た。【結果】病状が安定している対象者4 名、年齢は80 ~ 90 歳代であった。成果としてのカテゴリは≪もしものときについて看護師や家族と話ができたことで安堵感が得られた≫≪看護師が機会をくれたことでもしものときを考える機会になった≫≪看護師の支援を受けて家族と思いを共有する機会になった≫≪もしものときの思いをパンフレットで言語化したことで家族や他者に伝える証拠になった≫≪もしものときの話し合いをすることは自分と家族にとって必要だと気づくことができた≫≪もしものときについていいタイミングで自分の考えを伝えることができた≫の6 つが抽出された。課題と考えられたカテゴリは≪もしものときについて考えているが自分のこととして捉えていない≫≪もしものときについて家族が話をすることを避けている≫≪もしものときについて今は自分から主治医に伝えない≫の3 つが抽出された。【考察】信頼関係を構築している訪問看護師が、ACP 支援者となることで療養者は、思いを表出し安堵感に繋がったという成果が得られたと考える。また、療養者はACP のタイミングとして、年齢だけでなく認知機能が保たれ、かつ病状が安定している時を良いタイミングと捉えており、看護師が普段の病状や生活をアセスメントしながら各々のタイミングを見逃さないことが重要と考える。自分から主治医に伝えないことは遠慮があると推察されるため、主治医との対話を後押しする役割を担うことが重要であると考える。さらに、看護師ともしものときの考えを言語化したことで家族と共有する機会となっていた半面、家族が話を避けていることがわかった。看護師は、今後の医療やケアの方向性を具体化し家族と共に考えていくことが課題である。また、言語化したものを証拠として遺言のように捉えている療養者もいたため、ACP の理解を深められるように支援し、看護師もACP に対する知識と技術の向上が必要と示唆された。