[口演Y-28-3] 脳神経外科病棟における手術後から翌朝までに患者が感じる不快要因の検討
Keywords:不快感、術後、脳神経外科、時間感覚
【目的】ベッド上安静となる脳神経外科の手術後から翌朝まで、患者がどのようなことを不快と感じているかを明らかにすることで、患者の苦痛軽減とせん妄予防の一助になると考える。【方法】A 病院で初めて開頭術を受けた患者3 名に半構成的インタビューを行った。手術翌日から1 週間以内の疼痛や嘔気等の症状が無く落ち着いている時に回答を依頼し、術当日を振り返りながら感じた不快について聴取した。また看護師の対応に関して質問した。その内容から逐語録を作成しコード化、カテゴリ化による分類を行い解釈を重ねた。倫理的配慮は対象者に同意を得、インタビュー内容は匿名化した。【結果】抽出されたコードは41 で《身体的不快》《精神的不快》の2 カテゴリに分類された。サブカテゴリは[ 視覚][ 聴覚][ 疼痛][ 違和感/ 掻痒感][ 温冷覚][ 体動困難][ 嗅覚][ 時間感覚][ 不安・心配] の9 つに分けられた。《身体的不快》は疼痛が一番多かったが、腰痛・背部痛が主で創部痛を訴えた患者はいなかった。どの患者も体性感覚の不快を強く感じており、また術後早期に感じる不快を特に強く感じる傾向にあった。聴覚の不快感は特に朝方や夜中に聴こえる傾向があった。《精神的不快》では身体的不快に影響されて不安・心配が惹起されているものがあった。夜間の不眠や時間感覚の欠如も生じており時間を長く感じていた。【考察】創部痛を訴えた患者が居なかったのは術中の頭皮ブロックや手術退室前の鎮痛剤による効果と考えられ、患者が感じる疼痛は体動困難に伴う腰痛・背部痛が主となっていた。身体的不快は術後早期から翌朝まで生じており、それに伴い精神的不快も持続して生じていると考えられた。また身体的不快、精神的不快が生じている状態は不眠にも繋がり、時間感覚の欠如を呈していると考えられた。以上のことから、術後患者にはまず体性感覚の不快感が強く現れ持続し、複数の《身体的不快》が積み重なることで《精神的不快》が生じやすくなると考えられる。不快感を軽減するためには、体性感覚の不快への対応が帰室後早期から継続して必要であり、夜から朝方にかけては聴覚の不快と《身体的不快》に惹起される不安・心配や時間感覚の欠如への配慮など《精神的不快》への対応も必要であると示唆された。