[口演Y-28-4] 食道癌術後患者の離床ケアに対する熟練看護師の判断プロセス
Keywords:食道癌、離床ケア、熟練看護師、判断プロセス
【目的】本研究の目的は、消化器外科病棟に勤務する熟練看護師の食道癌術後患者に対する離床ケアの判断プロセスを明らかにし、安全で統一した離床ケアに繋げるための示唆を得ることである。【方法】本研究のデザインは、質的記述的研究である。消化器外科病棟で5年以上勤務している熟練看護師8名を対象とし、半構造化面接を実施した。面接は1名につき1回30分程度実施した。調査項目は、対象者属性(看護師および消化器外科経験年数)、食道癌術後患者の離床の判断プロセスを設定した。分析方法は、インタビュー内容を逐語録に起こしデータとし、文脈の意味内容ごとにコード化し、サブカテゴリー、カテゴリーとして集約した。なお、分析の過程において研究者間で分析内容の妥当性を確認し,厳密性の確保に努めた。倫理的配慮として、研究の任意性、匿名性、プライバシーの保護を遵守した。なお、本研究は、研究者の所属する機関の研究倫理委員会の承認を受けた後、実施した。【結果】対象者の看護師平均経験年数は、10.9年、消化器外科平均経験年数は6.9年であった。分析の結果、食道癌術後患者の離床の判断プロセスとして、30コードが抽出され、9サブカテゴリーから、〈離床前のケア〉〈離床直前の判断〉〈離床中のケア〉〈離床継続のためのケア〉の4カテゴリ-に集約された。〈離床前のケア〉は、《術後の患者状態の確認》《離床ケアへの準備》の2サブカテゴリーに集約された。〈離床ケア直前の判断〉は、《離床ケア時の全身状態の変化》《医師との連携》の2サブカテゴリーに集約された。〈離床中のケア〉は、《目標設定》《段階的にすすめる》《離床中の患者状態の変化に気づく》の3サブカテゴリーに集約された。〈離床継続のためのケア〉は、《前向きな声かけ》《継続看護につなげる記録》の2サブカテゴリーに集約された。【考察】熟練看護師は、〈離床前のケア〉で患者が安全に離床ケアを開始できる状態であるか確認し、援助していた。またバイタルサインだけでなく様々なデータをもとに、多職種と連携しながら〈離床ケア直前の判断〉を行っていた。〈離床中のケア〉は患者とともに目標設定を行い、患者に寄り添う安全な離床ケアを行っていた。〈離床継続のためのケア〉は患者の自己効力感の低下を防ぐための声かけや記録を活かしたスタッフ間の情報共有により、離床ケアにつなげていた。