[口演Y-3-2] コロナ禍における地域包括ケア病棟看護師の退院指導の実態
―糖尿病薬物療法に焦点をあてて―
キーワード:コロナ禍、地域包括ケア病棟、退院指導
【目的】コロナ禍において地域包括ケア病棟看護師がおこなった糖尿病薬物療法の退院指導の実態を明らかにし、感染対策下における退院指導のプロセスを考察することで、今後の退院指導の一助とする。【方法】A病院地域包括ケア病棟看護師20名を対象に、無記名自記式質問紙調査を実施した。データ数の単純集計及び自由記載による回答は類似した内容に整理した。対象者へ研究目的と方法、研究協力は自由意志であることを説明し、回答をもって同意を得た。【結果】回答者は17名で、新型コロナウイルス感染症対策以前より勤務していた5名を含む14名に退院指導の経験があった。指導対象は患者本人に次いで家族が多く、指導の場として退院時や感染対策下で医師の許可を得た面談の場を利用していた。感染対策により患者と家族へ同時に指導が出来ないこと、家族へタイムリーかつ継続した指導機会を持ちにくいこと、知識や技術の習得状況を十分に確認できないことに不安を感じながら指導をしていた。それに対して、事前に疑問点を確認し、個別性に合わせたパンフレットを作成するなど工夫し、家族が荷物補充で来院した短時間の場面も指導の機会としていた。退院時には在宅・施設サービススタッフへ看護サマリーで情報提供し、外来通院する患者については、外来看護師へ情報提供し外来受診時の介入を依頼していた。【考察】先行研究で明らかにされたように、糖尿病薬物療法を理解するには、繰り返しの説明や手技の練習が必要であるが、感染対策による面会禁止で入院中に家族へ指導する機会や時間が制限された。そのため、荷物補充で来院した短時間の場面も利用し、効率よく実施できるよう事前に準備、指導方法を工夫する等、患者・家族にあわせ様々なアプローチで指導していることが明らかとなった。また限られた指導機会や時間により、患者・家族の理解や技術の習得が不十分と感じていることも同時に明らかとなった。入院中に十分に習得できなかった知識や技術の指導は、介護支援専門員及び訪問看護師へ情報提供し、継続した支援依頼をおこなっており、地域連携が重要と考えられる。また外来看護師へ退院後初回外来時に介入依頼するなど、連携を強化していることも明らかとなった。感染対策下において退院指導を継続するために、指導場面を有効に活用する取り組みをおこない、院内外の多職種との連携を強化することがより一層必要と考える。