[口演Y-34-4] 認定看護管理者サードレベル教育課程における政策提言能力向上のための演習プログラムの検討
Keywords:政策提言、認定看護管理者、サードレベル、教育プログラム、制度
【目的】認定看護管理者サードレベルにおける、政策提言に関する学生の学習到達レベルと具体的な指導内容を分析して、政策提言能力向上のための教育プログラムの開発に資する知見を得ることを目的とする。【方法】2018 年に行った予備調査に基づく、政策提言能力向上のための教育プログラムを用いた講義・演習を認定看護管理者教育課程サードレベルで実施した。学生の成果物と指導記録、無記名自記式質問紙調査の結果を用い、実証的に検証する研究デザインを用いた。学生に成果物の使用の許可および質問紙調査の同意を得て、認定看護管理者教育課程実施施設のA 大学の倫理委員会より承認を得て実施した。【結果】全学生17 名のうち、9 名より質問紙調査の結果を得られた。9 名の対象者は、看護部長5 名、副看護部長3 名、看護師長1 名であった。事前課題(臨床現場における問題点を抽出して政策による解決策について検討する)において、問題の解決策が政策に結びつかなかった。その後、具体的な政策に関する講義と、アドバイザーの指導によるグループワークを経て、政策提言を策定し発表することができた。演習においては、制度を見直すことを想定して、臨床現場における課題を抽出して決めることに時間を要した。また、問題解決のための政策を検討するステップ2では、現行制度を検索できることと、批判的に分析する視点を持つまでに一定の時間と指導が必要だった。診療報酬の加算の創設に解決策が集中する傾向があるが、現行の加算の算定要件を検索して、どこが不具合なのかを検討するようある程度の誘導を行った。また、課題によっては、診療報酬ではなく、他制度の省令や通知、補助金要綱等の紹介も必要であった。【考察】サードレベルの学生は、政策提言能力向上のための教育プログラムにより、政策を検討する際の視点を獲得して、政策提言を策定できることが明らかになった。一方で、看護管理者として、既存制度の枠組に対応して現場の改革を行っているが、問題解決策として既存制度を見直しの対象とすることを理解するための視野の拡大と柔軟性が必要であると知見が得られた。制度が具体的にどのように通知や補助金要綱に記載されているのかを見たことがない学生が多く、教育プログラムステップ2の基礎知識として、講義と演習での具体的な事例を活用したプログラムの強化の必要性が示唆された。