第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演36群 看護の体制整備

Thu. Nov 9, 2023 1:15 PM - 2:15 PM 第8会場 (G314+G315)

座長:竹﨑 和子

[口演Y-36-3] 看護提供方式の変更が看護師の勤務時間に及ぼす影響と気持ちの変化

―ペア体制から固定チームナーシングへの変更を通して―

山口 久美, 石井 昌世, 花房 藍, 塩原 友紀, 生方 明日香, 根岸 万里子 (順天堂大学医学部附属練馬病院)

Keywords:看護提供方式、ペア方式、固定チームナーシング

【目的】今回、ふたりの看護師がペアで看護を提供する方式(以下、ペア体制)を導入していた部署が看護補助者等の活用によりペア体制を継続するメリットを感じにくくなったことから看護提供方式を固定チームナーシングへ変更した。本研究の目的は、この変更によって看護を提供する看護師の勤務時間および気持ちに生じた変化を明らかにすることである。【方法】看護提供方式変更による変化を知ることを目的に2022 年12 月~翌1 月に実施した質問紙調査における自由記載内容を質的記述的に分析した。また、看護提供方式の変更が勤務時間に及ぼす影響の検討を目的に、変更前後の2021 年および2022 年の4 ~ 6 月の前乖離時間と超過勤務時間についてそれぞれt 検定を用いて比較した。データの使用にあたり、倫理的配慮としてオプトアウトを実施した。【結果】対象者41 名中、質問紙調査に回答した看護師は21 名(回答率51.2%)で、看護経験年数は2 ~ 5 年が9 名(42.9%)、6 ~ 10 年が6 名(28.6%)、11 ~ 15 年が3 名(14.3%)であった。ペア体制から固定チームナーシングへの変更による変化として、自由記載には<受け持ち人数の減少><情報収集の負担軽減><責任感の自覚><患者と接する時間の増加>などの意見があった。一方で、<業務効率の悪化><教育・指導の浅薄化>などの意見も挙げられた。気持ちの変化に関しては<情報収集の負担軽減に対する安心感><自分の裁量で行動する気楽さ>などが挙げられた。勤務時間の比較において、対象年度に在籍していた看護師は26 名(63.4%)で、4 月と6 月の前乖離時間および6 月の超過勤務時間において有意差がみられた(p < 0.05)。【考察】ペア体制から固定チームナーシングへの変更は、受け持ち患者数が減ることで勤務前の情報収集の負担が軽減されたため前乖離時間の減少につながったと考えられる。それにより気持ちの余裕が生じ、且つ、自分の裁量による行動や責任感の自覚が増したことで看護師個々人の自律的な姿勢が促され、超過勤務の減少にも関与した可能性がある。一方、固定チームナーシングは自分の裁量の幅がペア体制よりも拡大するため、個人で業務やケアにあたることが増え、業務効率の低下を感じる看護師が多かった。これはチームリーダーの采配を強化し、看護師間のコミュニケーションを活性化することで改善できると考える。