[口演Y-37-4] 終末期肺がん患者の呼吸困難に対する看護師の困難感と実践している非薬物療法
Keywords:終末期、呼吸困難、非薬物療法
【目的】呼吸をすることは最も必要な生理的欲求であり、呼吸困難は生命の危機を感じ、死をイメージさせる症状の一つである。また、身体側面のみならず、心理、社会的側面、スピリチュアル側面を揺らがすと考える。そこで終末期肺がん患者の呼吸困難に対する看護師の困難感と実践している非薬物療法について明らかにすることを目的として本研究に取り組んだ。【方法】B病棟に勤務する看護師12名を対象に経験年数10年目以上と10年目未満でグループに分けフォーカス・グループインタビューを行った。インタビュー結果から逐語録を作成し、終末期肺がん患者の呼吸困難に対する看護師の困難感と非薬物療法について話している部分を抽出しコード化した。その後類似コードを集めサブカテゴリー化、カテゴリー化を行った。本研究は口頭と文面で説明を行い、同意書の署名を持って同意を得た。【結果】看護師の困難感として25のコードが抽出され9のサブカテゴリーと呼吸困難の緩和・優先順位を決めることへの葛藤・技量不足の3のカテゴリーで構成された。実践している非薬物療法は59のコードが抽出され15のサブカテゴリーと生活環境を整える・タッチングを行う・一緒に呼吸を整える・患者の時間を作る・患者の側に寄り添う・患者の希望に沿う・患者・家族の希望に沿う・チーム間での情報共有・家族との情報共有の9のカテゴリーで構成された。【考察】看護師の困難感では、10年目以上・10年目未満ともに、呼吸困難の緩和に対する難しさを抱えていた。多様な症状を呈するがん患者のケアには、知識や技術を柔軟に活用した対応が必要となる。10年目未満の看護師は、経験年数が浅いことに加え、がんの進行に伴い多様な症状を呈するがん患者へ対応するための知識が不足していることで困難感を抱いている者が多かったと考える。実践している非薬物療法では10年目以上・10年目未満ともに、患者の側に寄り添うといった患者の不安を軽減することを目的とした看護を行っていた。10年目以上の看護師は、患者の側に寄り添うだけではなく、声かけや傾聴を行い患者の思いを表出してもらい、患者の希望に沿うための看護につなげていることが明らかになった。困難感は看護師自身にとっても辛い体験であるため、呼吸困難の対応方法の検討だけではなく、様々な感情を吐露・共有し、感情を認め合う機会も必要であると考える。