第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演39群 看護職の心の働きとその対処③

2023年11月9日(木) 10:30 〜 11:30 第9会場 (G316+G317)

座長:石川 紀子

[口演Y-39-5] “外回り看護師”導入による自分達がやりたい看護に対する意識や行動の変化

増田 由加, 川添 千穂, 島村 和加奈 (埼玉石心会病院)

キーワード:看護師のやりがい、外回り看護師、看護ケア

【目的】A 病院は450 床の急性期病院でB 病棟は38 床の循環器内科専門、平均在院日数6.5 日、日勤の平均看護師人数は8 ~ 9 名、業務は多岐にわたる。看護師から受け持ち患者のケアが他の業務で中断され自分のやりたい看護が出来ない等の意見があり、それを補完できる“ 外回り看護師” を配置。導入約半年後に、自分達のやりたい看護について意識や行動の変化を明らかにした。【方法】対象:研究に同意したB 病棟看護師20 名。①導入半年からの2 か月間、日勤業務終了後、外回り看護師に依頼した場合に、依頼内容、依頼した事で自分が出来た事を所定の用紙に記入してもらった。②原則勤務終了後同日勤務している研究者が、依頼した理由と結果を10 分程度で聞き取り記録した。類似した看護内容、理由、結果を分類・命名し(①が<>、②は《》で示す)集計した。③①の期間終了後、外回り看護師の役割・配置の効果、受け持ち看護師として「あなたがやりたい看護は何か、実現できているか」について自由記述式アンケート実施し内容を分類した(「」で示す)。倫理的配慮:A 病院の倫理審査委員会の承認を得て実施(2022-31)【結果】①は75 枚、③は18 枚(90%)回収。①外回り看護師に依頼した内容は< 清潔ケア> が59% と最も多く、依頼したことで受け持ち看護師が出来た事は< 処置> が19%< 指導> が12% であった。②外回り看護師に依頼した理由は、《優先度が高いと考えた》《プライマリーとして看護をしたかった》依頼した結果は《勤務時間内に出来た》《決められた時間の業務に対応できた》《初めて行う指導の介入ができた》だった。③外回り看護師の役割・配置の効果では「受け持ち看護師の業務負担の軽減」「時間の確保」ができた反面、依頼したことで達成感を感じないという意見もあった。外回り看護師の役割は、受け持ち看護師が余裕を持ち安心して患者と関われる支援だと考えていた。やりたい看護は「患者のところへいき、思いを聞き、寄り添った看護」「患者の生活を見据えた退院指導」等プライマリーナースとしての介入や患者と直接の関りだった。一方で、時間に追われてできない、余裕がなくてできない等の意見もあった。【考察】外回り看護師の存在は、受け持ち看護師が多重業務となった際に精神的な負担の軽減に繋がっていると考えるが、やりたい看護を行うために、今後も工夫をしていきたい。