第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演4群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護の改善への取り組み②~

2023年11月8日(水) 15:45 〜 16:45 第6会場 (G304)

座長:國枝 美代子

[口演Y-4-2] 感染症パンデミック、COVID-19入院患者が抱く心理的特徴

―第5波(2021年7月~9月)入院患者アンケート調査から―

宮田 七重, 有村 靖代, 相良 望水, 鳥澤 杏 (東京慈恵会医科大学附属病院)

キーワード:感染症パンデミック、COVID-19入院患者、心理的支援

【目的】COVID-19入院患者が抱く心理状況を明らかにすることで先手を打った看護実践に役立てる【方法】質問紙によるアンケート調査。2021年7月~9月の期間にCOVID-19病棟に入院された成人患者154名に対し、2022年9月、研究説明、質問紙、返信用封筒を郵送し、返信をもって研究への同意とした。アンケートは無記名であり個人が特定されないよう配慮した。質問紙による自由記述であり、その内容を精読のうえ言葉の意味内容を解釈後にコード化し、データに基づきサブカテゴリー・カテゴリーに分類した。【結果】154名の平均年齢49.1歳、回答者41名、回答率26.6%。「入院時はどのような気持ちでしたか」の質問では《入院できた安心感、家族の心配、重症化への不安、治療方法なく不安、死を意識、意識障害で記憶がない》等があった。辛かったことは《発熱、体動困難、食思低下、味覚の変化》等の身体症状と《家族の安否や病状の不安、外部と連絡が取れない、行動制限、退屈、同室患者に対するストレス》等、精神的-社会的不安や苦痛があった。気持ちを前向きしたものは《家族や知人からの電話やLINE、運動、医療従事者との会話》等であった。退院時の気持ちは《嬉しい、家族に会える、生きる喜び・尊さを感じた、人生観に影響を与えた、規制のない生活を送ることができる》等の前向きな気持ちと《体力低下による日常生活や社会復帰への不安、後遺症の不安》等があった。医療従事者に対しては感謝の言葉の一方で《心苦しさの気持ちがあった》という思いを抱いていた。【考察】感染症パンデミックの中COVID-19入院患者が抱く心理的特徴は、家庭内感染や家族の病状、安否の不安や心配、死への恐怖心、隔離環境の不自由さ、後遺症や社会復帰への不安があった。また、第5波はデルタ株の出現で感染者数が増加、医療提供体制は逼迫し、自宅やホテル療養、酸素ステーションを経てからの入院であった。その体験が、“入院できた安堵感”、“医療従事者に対する感謝”や”心苦しさ”を抱く感情となり、この時期の特徴と考える。看護者はこれらの心理的特徴を踏まえ、病期に応じた適切な情報提供、外部との橋渡し役、社会復帰支援、後遺症外来などの案内の有用性、医療従事者との何気ない会話や気分転換を兼ねた運動等の働きかけが、孤立感を感じさせない精神的支援となることが明らかになった。