[口演Y-41-2] 臨床推論の構築と授業展開に関する一考察
Keywords:看護基礎教育、新カリキュラム、臨床推論
【目的】A 校で新たに科目を立ちあげた臨床推論1 は、主に基礎的知識やアセスメントの視点について学習を深め、患者の臨床像から援助の方法を導く思考過程の強化を図る学習内容となっている。臨床推論1 の学習効果を検証したので報告する。【方法】2022 年度に臨床推論1 を受講した学生を対象に授業終了後に質問紙を用いた聞き取り調査を実施した。量的データはExcel で単純集計を実施、自由記載は類似の内容ごとにカテゴリー化した。研究対象学生には、研究の目的及び個人情報の保護、研究参加の自由意志の保障、結果の公表を文章および口頭で説明し、質問紙上に同意の可否を回答できる項目を作成し同意を得た。また学内の倫理審査においてデータの使用および公表、倫理的配慮に関する承認を得た。【結果】質問紙の回収率は97%。その他を含む5 項目のうち最も学びが深まったと回答した授業内容は解剖生理学や形態機能学の37.5%、次いで健康変調を予見(予測)するアセスメントの視点や考え方21.9%、疾患や治療が15.6%、フィジカルイグザミネーションが15.6%、無効回答が9.4%である。自由記載の項目では52 のコードから主に授業内容と授業方法、学習環境に関する項目が抽出され、授業内容では「初学者が難しさを感じた内容」「メカニズム・つながり・関連」「臨床看護」「臨床推論」の4 つのカテゴリーが、また授業方法では「レディネスに応じた授業の難易度設定」「イメージしやすい言葉の選択」「授業構成の工夫」「授業形態の工夫」の4 つのカテゴリーが、学習環境では「授業の雰囲気」が形成された。他の講師の授業進度に合わせた授業展開の時期については、97%の学生が効果的だったと回答した。同時に進行していた看護過程、臨床技術、基礎看護学実習との学びの関連では、84%の学生がつながりを感じたと回答した。【考察】A 校の授業時期や構成は、より既習学習の内容を想起できるよう、各領域の授業終了直後に開始できるよう調整されている。そのことが学生の学びの実感につながっていた。実際に、既習学習で理解が不十分な内容の強化を実感できている学生が多い。他の科目との関連では、特に看護過程や基礎看護学実習とのつながりを感じている学生が多かった。思考の育成という点では看護過程と共通する事項も多く、同時に思考を育成していくことで思考過程の強化につながったことが予測される。