[口演Y-43-4] キャリア発達の支援に向けた院内留学
―新たな看護師像との出会い―
Keywords:院内留学、経験学習、継続教育、キャリア支援、中堅看護師
【目的】中堅看護師は組織の要であり、A 病院では卒後3 年目看護師の離職率が高く、その理由はキャリアミストによるものが多い。卒後3 年目看護師は中堅看護師として成長し、看護の質に影響を与える存在である。また、自己のキャリアを模索する時期である。そこで、キャリア発達を支援・促進することを目的に、卒後3 年目看護師を対象に院内留学を開催した。本研究は院内留学が中堅看護師のキャリア発達に与える影響を明らかにすることを目的とする。【方法】卒後3 年目看護師に院内留学の参加希望を聴取し、希望者21 名に4 日間の院内留学を開催した。参加者には学び・経験したことについてリフレクションシートを用いて個人での振り返りをした後に、院内留学先が同じ参加者でグループディスカッションを開催し学びの共有をした。参加者には院内留学がキャリア発達に影響があったかどうか、院内留学の前後で現在のやりがい値を10 段階尺度でアンケート調査をし、その変化を比較した。本研究参加者には、研究目的、方法、個人が特定されないよう配慮することを文書と口頭で説明し書面にて同意を得た。【結果】参加者全員が院内留学に参加してよかったと回答した。院内留学後、参加者のやりがい値は上昇67%、変化なし19%、低下4%、平均値は上昇した。院内留学がキャリア発達に影響があったかという質問に対しては影響した78%、少し影響した22%の回答であった。参加者からは『他部署を知ることで将来を決める参考になった』『看護について振り返る機会となった』等の意見を得た。【考察】参加者のやりがい値は半数以上が上昇し、院内留学はキャリア発達に影響があると肯定的な意見を得た。院内留学は他部署の看護を知ることで、自身の看護を内省し新たな看護師像を考える機会となる。自己のキャリアを模索する卒後3 年目看護師にとって、院内留学の経験はキャリアを考えるための一助となることが示唆される。また、個人とグループの2 回リフレクションを実施することで学びを言語化し共有できたこと、内省を促し各自が新たな目標や課題を設定できたこともキャリア発達の要因になったと考える。以上のことから、院内留学は中堅看護師のキャリア発達に影響をもたらす継続教育である。院内留学中は企画者が各部署をラウンドし、管理者を中心に情報共有や連携を行い受け入れ環境を整えたことも院内留学の効果を高める要因であったと考える。