[口演Y-43-5] 小児救急病棟における急変時対応シミュレーションが看護師に与えた教育効果
―無記名自記式質問紙調査に基づく検討―
Keywords:小児、急変時対応シミュレーション、教育効果、日常の看護実践
【目的】小児3 次救急基幹病院にあるA 病棟では、緊急入院や手術後に呼吸・循環管理が必要な急性期患者を受け入れている。呼吸原性心停止の事例で二次救命処置と心肺蘇生のアルゴリズムをシミュレーション形式で学ぶ機会を設けた。急変時対応シミュレーション(以下、シミュレーション)に関する研究は小児領域では極端に少なく、日常の看護実践にどう生かされているかについて述べられたものはない。A 病棟でのシミュレーションが日常の看護実践にどう生かされているのか教育効果を明らかにし、今後の小児救急領域でのシミュレーション教育の示唆を得たいと考えた。【方法】所属施設の倫理委員会の承認(2204-1)を受けた。シミュレーションを1 ヵ月間に一人あたり2 回以上出席できるよう計画・実施した。無記名自記式質問紙をA 病棟の看護師35 名に配布した。数値データはExcel で単純集計し、自由記述は内容の類似性に基づき抽象度を高めてカテゴリー分類した。データは本研究以外の使用はなく、対象者に不利益が生じないこと、プライバシーの保護に努めることを説明した。質問紙の提出をもって同意とした。【結果】調査回答用紙の回収率は60%。シミュレーション参加回数は「3 回以上」16 人、「1 ~ 2 回」3 人、「0 回」2 人。「シミュレーションの学びを日頃の看護に生かせているか」の設問に「そう思う」「ややそう思う」と86%が回答。自由記載では「急変を想定して観察するようになった」「モニター音に反応して動けるようになった」「実際の急変対応をした時に、学びを生かせた」などがあった。11 年目以上の看護師からは「知識不足に気が付いた」「後輩への指導は足りていない」という回答があった。【考察】自由記載の意見から日常の看護実践で、患者の急変に備えて意識的に取り組む行動がみえた。シミュレーションを重ね、実際の急変時対応ができた実績や、経験年数が多い看護師が自己の役割や課題を振り返る機会に繋がっていた。これらのことから、急変時対応の知識・技術の獲得と教育効果があったと推測する。今後は、看護師のクリニカルラダーの段階に応じた知識・技術習得の支援を継続していくという課題がみえた。