[口演Y-44-1] 医師と連携した小児急変対応シミュレーション研修の効果
―看護師に対するデブリーフィングとインタビュー分析を通じて―
Keywords:小児、急変対応、シミュレーション研修、医師、連携
【目的】医師と連携した小児急変対応シミュレーション研修が小児急変に対する看護師の認識と行動にどのような効果があるのかを明らかにする。【方法】A病院B病棟で企画した小児急変対応シミュレーション研修に参加し同意が得られた15名を対象に半構成的面接を実施した。シミュレーション研修では2事例を用意し、小児科医が当直医役を担い、3名の夜勤看護師役を設定した。そして、研修後のデブリーフィングやインタビュー内容を逐語録に起こし、看護師が捉えた研修の効果を示す部分を抽出し、カテゴリー化した。本研究は所属施設の倫理委員会の承認後、対象者に研究目的、参加は自由意志であることを口頭と書面で説明し同意を得た。【結果】78のコード、17のサブカテゴリー、最終的に≪小児急変に対する思い≫≪急変時の具体的な対応方法の理解≫≪急変を想定した日々の看護ケアの変化≫≪自己研鑽の動機の高まり≫≪シミュレーション研修の課題≫の5のカテゴリーにまとめられた。≪小児急変に対する思い≫では、不安や恐怖等<ネガティブ感情の惹起>と自分で出来ることはやろうという<効力感の芽生え>が語られた。≪急変時の具体的な対応方法の理解≫では、<薬剤や物品、蘇生手技の理解><チームワークの重要性の認識>等の学びが語られた。【考察】実際に起こり得る事例を想定した小児急変対応シミュレーション研修を実施したことにより、看護師は小児の急変を疑似体験でき、≪小児急変に対する思い≫として、ネガティブ感情を抱きながらも前向きな姿勢へと変化するきっかけになったところがあると考える。また、シミュレーション研修を通じ、≪急変時の具体的な対応方法の理解≫が得られ、その中で<チームワークの重要性の認識>が深まったのは、医師と看護師が急変対応を協働して取り組んだ効果の一端と考える。さらに、「急変時に医師が看護師に何を求めているか分かった」との語りより、看護師に対する期待を医師の視点で明確にすることもでき、急変時における看護師の役割の重要性を実感する機会になったのではないかと考える。加えて、「普段の様子を知る」「アンビューを準備する」等、急変を予測した情報収集や必要物品を体得できたことで、≪急変を想定した日々の看護ケアの変化≫を実感するに至ったのではないかと考える。今後の課題として、実際の急変に即した研修方法や内容について更に検討を重ねる必要がある。