[口演Y-45-1] 一般病棟ならびに集中治療室看護師におけるフィジカルアセスメント能力の実態調査
Keywords:フィジカルアセスメント能力、ABCDEアプローチ、一般病棟看護師、ICU看護師
【目的】本研究は、ABCDE アプローチに基づきシミュレーションを実施し、看護師のフィジカルアセスメント能力の実態を明らかにする。【方法】研究対象者はN 大学病院の一般病棟とICU 看護師。看護師経験年数、ICU 経験の有無などはweb アンケートから後方視的に集積。倫理的配慮: 対象者に研究内容、自由意思での参加、個人情報保護等を説明し、web アンケート回答をもって同意を得た。事前にABCDEアプローチの動画視聴し、提示した3 症例に対応する。対応内容と口頭試問結果をフィジカル能力評価表(身体所見30 項目、病態推論、ケア)に基づきクリティカルケアCN4 名が点数化。各症例は一定期間をあけて2021 年5 月から2022 年7 月に評価。(1) 身体所見の正答率を抽出。(2) 身体所見(X:70 点)、病態推論・ケア(Y:30 点)、総合得点(Z:100 点)の平均点とアンケート結果をt 検定で比較検討(有意水準5%)。(1)(2) を一般病棟、ICU、全体の区分でデータ抽出。【結果】回答した406 名のうち、有効回答317 名を対象とした。区分は、一般病棟253 名、ICU 64 名。看護師経験年数の割合は、4 年未満24%、4 年以上76%。ICU 経験あり25%。正答率の高い項目は、気道開通、SpO2、呼吸数、血圧等。正答率の低い項目は、呼吸パターン、心音、意識レベル等。総合得点は、67 点、69 点、78 点と段階的に上昇を認めた。救急コース受講者が多い病棟ほど総合得点が高かった。症例1(脳ヘルニア):一般病棟と全体で、4 年未満と以上で得点XYZ に有意差あり(P<.05)。全病棟の7 割が総合得点未満。症例2(心原性ショック):全体で、ICU 経験歴の有無で得点Z に有意差あり(P<.05)。症例3(敗血症性ショック):ICU では、救急コースインストラクター歴の有無で得点YZ に有意差あり(P<.05)。全病棟の6 割が総合得点以上。【考察】看護師経験年数やICU 経験歴について、フィジカルアセスメント能力と一致しなかった。看護師経験年数の浅い看護師は、基礎教育や院内教育でABCDE アプローチを学ぶなどシミュレーション教育への慣れが得点に反映された要因の一つと考える。また、各病棟の専門性が高い中、未経験の疾患症例でも、症例を重ねる毎に得点が向上しており、スキル能力の維持・向上には定期的なトレーニングの必要性が示唆された。