[口演Y-45-3] 看護師が他者との違いを実感し多様な意見を認め合うことの大切さに気づける取り組み
―クロスロード・ダイバーシティゲームを用いて―
Keywords:多様、相互理解、価値観、クロスロード・ダイバーシティゲーム
【目的】近年、価値観の複雑化やライフスタイルの変遷など私たちをとりまく社会は多様化が進んでいる。看護師が働く職場も多様な人材が集まる集団である。クロスロード・ダイバーシティゲームを通して他者との違いを意識する機会を提供することで、相互理解の重要性を認識し、それらがよりよい職場環境への第一歩となるのではないかと考えた。本研究の目的は、正解のない問題に対して話し合うことが出来るクロスロード・ダイバーシティゲームを実施し、他者の多様な価値観や考え方に触れることで、どのような気づき、思考変容があったかを明らかにすることである。【方法】対象者:B病棟に所属する看護師のうち、研究参加に同意を得られた10 名を分析の対象とした。調査の時期と方法:令和4 年1 月にクロスロード・ダイバーシティゲームを実施した。分析方法:録音から逐語録を作成し、対象者の気づきや思考変容に関わる発言に沿って、コード化、カテゴリー化し質的記述的に分析した。倫理的配慮:研究協力者に参加は自由意志であること、収集したデータは個人が特定されないこと、本研究以外では使用しないことを説明し遵守した。【結果】48 コード挙げられ、それらを意味内容の類似性に従い分類した結果、10 カテゴリーに分類された。それらのカテゴリーを1. 相手の意見や思いを考えながらコミュニケーションをとる必要がある 2. 自分と違う意見を聞いても、1 つの意見として理解し納得できた 3. 1 人1 人、いろんな意見や考えがある 4. 他の意見を聞くことで自分の意見の幅も広がる 5. 違う意見でも方向性や目指すところは同じ 6. 自分の意見や気持ちを言葉にして相手に伝えることが大切 7. 発言することへの抵抗が少なくなり、以前よりもう少し発言してみようと思った 8. 自分の意見に自信がなく、発言することに対して不安感や恐怖心がある 9. 相手に伝えることの難しさを感じた 10. 自分(人)の傾向に気づいた と命名した。【考察】クロスロード・ダイバーシティゲームを実施し分析した結果から、他者の意見を受け入れることの大切さやコミュニケーションにおける自分の傾向に気づいたことが示された。それにより相手の意見や思いを考えながらコミュニケーションをとる必要があることが重要であることが示された。しかし、ゲーム参加者が少なく参加者に自由討論を委ねた結果、発言数に偏りが出たため、症例を増やし研究の精度を上げていくことが望まれる。