[口演Y-47-4] 若年看護師の役割移行によるリアリティ・ショック
―漢字リフレクションを通して―
Keywords:若年看護師、役割移行、リアリティ・ショック、リフレクション、AI分析
【目的】2021 年度A 病院教育委員会では、他者との交流制限下で就職した新人看護師に対し、自分の思いを表出し互いの思いの共有を目的に漢字リフレクションを取入れた。漢字選択理由を言語化し表現することは、自己を振り返り感情表出の機会となることが示唆された。漢字リフレクションを卒後2 年間継続し、経年的な結果をふまえ、若年看護師が役割移行を通じて、受けるリアリティ・ショックの体験を探索調査した。【方法】研究対象 A 病院2021 年度入職の新人看護師。研究期間 2021 年4 月~ 2023 年3 月。研究方法 集合研修で漢字リフレクションを実施。漢字選択理由を、AI 分析を含め定性的探索調査を行う。紙面にて、回答をもって研究参加の同意とすることを説明した。【結果】漢字リフレクションの漢字選択理由の年次比較結果は、卒後1 年目には「成長」「学ぶ」「疲れる」「怖い」、卒後2 年目では「業務」「2 年目」「焦る」の単語の出現が多かった。感情分析では「好き」が最も多いのは入職直後であり、臨床研修終了後夜勤メンバーとなる時期に「恐れ」が増え、入職時になかった「悲しみ」が出現した。卒後2 年目では年間を通し「恐れ」が多く、職場に後輩が入った時期に「悲しみ」が増えた。1 年目に比べ、2 年目では「喜び」の頻度が増えた。個々の漢字選択理由には、自身の気持ちや自己俯瞰内容が記されていた。【考察】漢字リフレクションの漢字選択理由には、自己内省の開示を読み取れる可能性がある。若年看護師が節目で遭遇するリアリティ・ショックの傾向を知る端緒となり、役割の移行に伴い、どのような他者支援を必要とするかの検討に資するデータとなり得る。漢字リフレクションは若年看護師の内面的な自己開示の伝達行為として活用が期待できる。開示の内容や意味をOJT に活かすためには、若年看護師の内面的開示の意味や内容を理解することが重要である。さらに、個々にリアリティ・ショックの低減や若年看護師の主体的な成長・変化を促す、組織適応の支援体勢が必要である。