第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演47群 継続教育⑤

Thu. Nov 9, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 第11会場 (G319)

座長:西村 実希子

[口演Y-47-5] A病院の看護師が持つクリニカルラダー教育への認識と学習ニーズの調査

―院内教育の再構築に向けた取り組み―

時枝 涼 (小倉記念病院)

Keywords:クリニカルラダー、院内教育、学習ニーズ

【目的】A 病院では看護師の人材育成として、クリニカルラダーを導入している。しかし、クリニカルラダーの申請取得率は低く、本来担っている役割と、取得するラダーレベルから求められる役割に乖離が生じていることが多くみられる。その要因として、現場の看護師からは「ラダーを上げる意味が分からない」といった声が多く聞かれることから、看護師のクリニカルラダーに対する認識度が低いことが考えられる。そのため、今回A 病院の看護師を対象に、クリニカルラダーへの認識および学習ニーズについて調査することで、今後の院内教育におけるクリニカルラダーの運用方法について示唆を得る。【方法】A 病院に勤務する役割等級1 から3 の看護師609 名を対象とした。対象者に対して、Web を用いて作成したクリニカルラダーの認識度および学習のニーズに関するアンケート調査を実施しデータを集計した。アンケート結果の分析は、Excel を用いて統計学的に処理した。今回、調査研究を行うにあたり、研究はすべての対象者に対し研究目的・方法、研究結果の公表などのほか、協力は自由意志であること、また協力が得られなくても不利益を受けないことについて、書面による説明を行った。なお、承諾の有無はアンケートの参加をもって同意を得たこととした。また、院内の看護部倫理調査委員会へ、本研究の計画書を提出し承認を得た。【結果】アンケートの回答率は71.4%であった。クリニカルラダーの構成要素について十分に知っていると答えた人は全体の3%であった。自身の取得しているラダーレベルのあるべき姿について知っていると答えた人は72%であったが、知っていると答えた人の実際の正答率は48.5%であった。学習ニーズとしては、「今後ラダーを上げたいと思わない」と答えた人が全体の20%、「学習を受けたいと思わない」と答えた人が15%であった。【考察】今後ラダーレベルを上げたいと思わないと答えた人は全体の20%、学習を受けたいと思わないと答えた人は15%であったことから、対象者には学習への意欲があると考える。しかし、クリニカルラダーの構成要素について十分に知っていると答えた人は全体の3%であり、クリニカルラダーに関する認識度は低い。今後、院内教育におけるクリニカルラダーの位置づけや構成要素について認知してもらい、対象者が主体的に学んでいけるような関わりが必要である。