第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演5群 ポストコロナ社会の看護への示唆~家族看護~

Wed. Nov 8, 2023 10:30 AM - 11:30 AM 第7会場 (G312+G313)

座長:福永 稚子

[口演Y-5-4] A病院の認定看護師が考えるコロナ禍での面会制限中の家族看護

―患者家族への情報提供に焦点を当てて―

菅原 有佳里1, 上野 栄一2, 小林 孝子1, 米多 麗1, 池田 愛莉1 (1.富山市立富山市民病院, 2.奈良学院大学)

Keywords:コロナ禍、面会制限、家族看護、認定看護師、情報提供

【目的】A病院ではコロナ禍による面会制限により、1回の面会時間は5分程度となり人数も2-3名に限られているため、患者家族が入院中の患者の状態を把握できていない現状がある。このような状況の中で熟練した看護技術及び知識を持つA病院の認定看護師が、限られた面会時間の間にどのような工夫や配慮をして、家族が必要としている患者の情報を伝えているのかを明らかにし面会制限中の家族看護に活かすことを目的とした。【方法】質的研究デザインを用いてインタビューし、研究対象者は研究協力への同意が得られたA病院の病棟勤務の認定看護師とした。倫理的配慮は倫理審査委員会(審査番号:2022-004)にて承認を得て実施した。承認を得たのちに研究協力依頼の文章を各病棟の所属長を通して該当者へ文書と口頭で、研究の目的、方法、研究参加の任意性、苦痛に感じることは話す必要がないこと、同意撤回の自由の保障、参加・不参加による不利益がないこと、個人情報の守秘、本研究以外に使用しないことについて説明した。同意書への署名を持って同意とみなし、プライバシーが確保できる場所で面接を実施した。【結果】患者家族への情報提供に焦点を当てたコロナ禍での面会制限中の家族看護について分析した結果、26個のコードが抽出され、25のサブカテゴリー、6つのカテゴリーが生成された。カテゴリーは、[信頼関係の構築]、[言葉だけでない家族の理解力の査定]、[要望確認への配慮]、[入院生活がイメージしやすい情報提供]、[患者家族への精神的配慮]、[退院後安心して生活を送るための工夫]であった。【考察】認定看護師は情報提供を行う際、患者家族が患者の入院生活やADLの状態などをイメージ化できるような工夫をしており、患者家族が患者の状態をイメージできることで、不安が軽減され、安心に繋がると考える。また、認定看護師は長年の経験から信頼関係の構築は質の高い看護を提供する上でのベースとなる事を理解しており、面会制限で患者家族と関わる時間が短いからこそ、患者家族と関わる少しの機会も大切にして信頼関係を構築しようとしていた。また、退院指導の際には現在の患者の状態を伝え、病院の生活と自宅での生活を比較し自宅での生活に置き換えて指導を行うことで患者家族が退院後の生活をイメージでき、患者・患者家族共に安心して退院できる事に繋がっていると考える。