[口演Y-6-4] COVID-病棟で働く看護師の勤務継続意思に関連した因子
―計画的行動理論による分析―
Keywords:COVID-19、勤務継続意思、計画的行動理論
【目的】A病院は地域の中核病院としてCOVID-19患者を積極的に受け入れたが、病棟看護師の異動希望や退職は増え、対策が必要とされている。この研究の目的は、COVID-19病棟で働く看護師の勤務継続意思に関連した因子を明らかにすることである。また、今後の感染症対応時の看護師の離職防止対策の示唆を得る。【方法】院内のCOVID-19第7波収束後の2022 年9 月に、今後も病棟で勤務継続意思がある看護師9名にグループインタビューを実施した。内容は質的帰納的に分析し、計画的行動理論に基づいて考察した。また、メンバーチェッキングで整合性を確認した。倫理的配慮として、対象者に研究目的や方法を説明し同意を得た。また倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】病棟で働く看護師の勤務継続意思に関連した因子は〈自己成長〉〈金銭的インセンティブ〉〈現実とのギャップ〉〈労働環境の不満〉〈患者と後輩を守る〉〈組織の一員としての役割〉〈家族の理解〉〈組織内の偏見〉〈やらざる得ない状況〉〈経験による自信〉〈気心が知れたメンバー〉〈環境変化のストレス〉の12因子(勤務継続に肯定的な7因子と否定的な5因子)で構成されていた。【考察】計画的行動理論では《行動に対する態度》《主観的規範》《行動の統制感》が行動意思に影響する。《行動に対する態度》は〈自己成長〉〈金銭的インセンティブ〉〈現実とのギャップ〉〈労働環境の不満〉の4因子、《主観的規範》は〈患者と後輩を守る〉〈組織の一員としての役割〉〈家族の理解〉〈組織内の偏見〉〈やらざる得ない状況〉の5因子、《行動の統制感》は〈経験による自信〉〈気心が知れたメンバー〉〈環境変化のストレス〉の3因子が当てはまる。COVID-19が5類感染症になれば〈金銭的インセンティブ〉はなくなる。また治療の確立、院内感染対策や応援体制など労働環境が整い〈現実とのギャップ〉〈労働環境の不満〉〈組織内の偏見〉〈やらざる得ない状況〉〈環境変化のストレス〉は改善される可能性が高い。またメンバーの配置換えも考慮し〈気心が知れたメンバー〉もなくなる。今後は、〈家族の理解〉を前提に、病棟で勤務することが〈自己成長〉や〈経験による自信〉につながり、〈組織の一員としての役割〉〈患者と後輩を守る〉という看護師の基本的な役割を組織として支援することが、看護師の離職防止につながると示唆された。