第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演7群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護職の心の働きとその対処①~

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 第7会場 (G312+G313)

座長:遠藤 和江

[口演Y-7-1] コロナ病棟開設による不規則な臨時異動に伴い、看護師が抱いた思いとその要因

伊藤 未結, 赤坂 純, 渡邉 三千代, 浅野 瑠一 (総合病院中津川市民病院)

キーワード:COVID-19、グループインタビュー、看護師のストレス

【目的】A病院では2020年4月からCOVID-19(以下コロナ)と診断された患者を受け入れるためB病棟をコロナ病棟へ再編した。B病棟は3チームで構成されており、1チームが2ヶ月毎にコロナ病棟で勤務し、他2チームは分散して他部署へ異動する体制となった。その為、数ヶ月のコロナ病棟勤務と他部署での勤務を繰り返し、閉鎖している期間もあった為に不規則かつ突然の臨時異動を繰り返した。そこで本研究は、度重なる臨時異動という環境に置かれた看護師の抱いた思いやその要因を明らかにし、今後の看護師就業支援に対する示唆を得ることを目的とした。【方法】B病棟に勤務する研究協力を得られた看護師14名を対象に、3~6名のグループインタビューを行った。内容は臨時異動した際に生じた身体的・精神的・社会的ストレスについてとその環境で生じたストレスを軽減させた要因についての2つのテーマを提示した。研究同意を得られても参加辞退の自由を説明する等倫理的配慮を行った。インタビューから得られたデータを逐語録化し質的データ分析にてコード化・カテゴリー化した。【結果】99コード、17サブカテゴリー、1~5の5カテゴリーが抽出された。【考察】抽出した5カテゴリーにおいて、1「日常生活への影響があった」通常にはなかったストレスや不安、日常生活への影響や気分転換の機会の喪失が、健康障害につながる影響を与えたと考える。2「報われない思いがあった」異動先で業務ができて当たり前と思われ、重圧を感じている状況が明らかとなった。自分たちの境遇を理解されず疎外感を感じている事は、社会的欲求が満たされていない状況と考える。3「情報が欲しい」未知なる感染症のために、予測がつかず漠然とした不安を抱えてしまう状況が推測される。4「キャリアアップが難しい」臨時異動を伴う新人教育は、頻回な計画の見直しやメンタルヘルス支援が必要であり新人と指導者両者にとって大きな負担となった事が伺える。また、一般病棟に勤務している同年代の看護師と比較してしまい、ラダー等の進行状況に差が出ていることで焦りがあったと推測される。5「有益であった」他部署に勤務することで、新たな人間関係が構築されたことに喜びを感じ、学びから不安が払拭され高いモチベーションが維持出来ている状態だと推測された。この研究で得られた結果及び考察は様々なストレスを抱えながら働く看護師支援の一策に活用出来ると考える。