第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

口演

口演7群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護職の心の働きとその対処①~

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 第7会場 (G312+G313)

座長:遠藤 和江

[口演Y-7-3] 新型コロナウイルス流行下におけるA病院の看護師のストレスとストレス対処力との関連

―首尾一貫感覚(SOC)の視点から―

藤原 将希, 福田 智子 (砂川市立病院)

キーワード:新型コロナウイルス、ストレス、首尾一貫感覚、TMDP

【目的】新型コロナウイルス流行下におけるA病院で勤務する看護職のストレスの程度と要因,ストレス対処能力との関連を明らかにする.【方法】2022年6月27日~7月11日に,A病院に勤務する看護師・准看護師・助産師518名を対象に自記式質問紙調査を実施した.調査項目は基本属性(性別,年代,経験年数,同居家族の有無,対象者・同居家族の基礎疾患の有無),労働状況(夜勤の有無,新型コロナウイルス患者との接触の有無),首尾一貫感覚(以下SOC)13項目,Tokyo Metropolitan Distress Scale for Pandemic(以下TMDP)とした.分析はTMDPがカットオフ値(14点)未満/以上の2群に分け,基本属性,労働状況,SOC得点と統計学的分析を行った.統計分析はJMP12.0.1を使用した.研究対象者には研究目的,参加・不参加の自由,無記名で個人が特定されないことなどを文書で説明した.【結果】回答345名のうち,回答に欠損値のない326名(配布の62.9%)を分析対象とした.TMDPは平均12.5±4.56点で,カットオフ値14点以上が134名(41.1%)であった.SOC得点は平均53.0±9.7点で,TMDPカットオフ値未満/以上の2群とSOC得点でt検定を行った結果,有意な差がみられた(p<0.001).重回帰分析を行ってTMDPカットオフ値未満/以上の2群に対する基本属性,労働状況,SOC得点との影響度合いを分析した結果,基本属性,労働状況との間に相関はなく,SOC得点との間に負の相関が認められた(p<0.001,標準化偏回帰係数-0.23).【考察】4割を超える看護職が高いストレスの値を示していた.調査時のA病院の医療圏における新型コロナウイルス感染流行は比較的穏やかな状況で,病院内クラスターは発生していなかった.しかし,国内の新型コロナウイルス感染患者の発生が長期に及んでおり,感染対策による業務負荷などから常にストレスフルな状況にあると考えられた.本研究の結果から,新型コロナウイルス流行下においてSOC得点が高いことがストレスの程度を軽減する要因の一つであることが示唆された.