第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演7群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護職の心の働きとその対処①~

Wed. Nov 8, 2023 2:30 PM - 3:30 PM 第7会場 (G312+G313)

座長:遠藤 和江

[口演Y-7-4] コロナ禍における一般病棟とコロナ病棟の看護師が抱えるストレスの相違について

高井 沙紀, 小山内 瑞紗, 立石 瑠衣子, 鍵 有紀 (がん・感染症センター都立駒込病院)

Keywords:コロナ、看護師、ストレス、TMDP、職業性ストレス簡易調査票

【目的】一般病棟とコロナ病棟の看護師が抱えるストレスの相違を検討し、ストレスの問題と今後の対策を明らかにする。【方法】一般病棟5病棟およびコロナ病棟を経験した4病棟に勤務する看護師196名を対象に質問紙調査を行った。調査期間は令和4年11月14日~11月28日。調査内容はコロナ診療に従事する医療者の精神的・社会的負荷を検出する尺度(TMDP)・職業性ストレス簡易調査票(57項目)・自由回答とした。TMDP・職業性ストレス簡易調査票の下位尺度ごとに一般病棟とコロナ病棟でマン・ホイットニーのU検定を行った。質問紙は、無記名回答で個人が特定できないよう配慮した。【結果】回収率は80.6%(158名)、有効回答率は96.2%(152名)だった。属性割合は、一般病棟看護師57.9%(88名)、コロナ病棟看護師42.1%(64名)だった。TMDP合計平均得点は、一般病棟が1.6点高かったが、有意差はなかった。職業性ストレス簡易調査票得点は「不安感(p=0.021)」「抑うつ感(p=0.021)」などにおいて、有意に一般病棟が高かった。また、「心理的な仕事の負担(量)(p=0.000)」「心理的な仕事の負担(質)(p=0.000)」などにおいて、有意にコロナ病棟が高かった。自由回答は共通して行動自粛に関する記載が多かった。一般病棟は感染の不安、コロナ病棟の体制が手厚いことの不満など様々で、集中した回答はなかった。コロナ病棟は約30%が他病棟の応援体制の負担に関する回答だった。【考察】一般病棟看護師は「不安感」など4項目で有意に高く、TMDP得点は高値であり、心理的ストレスを感じていた。自由回答では、様々なストレスを抱えていることも分かり、思いを表出する時間の確保など、精神面のケアの必要性が示唆された。コロナ病棟看護師の心理面に関する得点が低かった理由は、コロナ流行から3年経ち、感染対応における環境に順応できたことが考えられる。しかし「心理的な仕事の負担(量・質)」が有意に高く、他病棟の応援体制の負担感を抱えていることから、業務的ストレスを感じていた。応援体制の改善、業務全体の効率化・スリム化に取り組む必要性が示唆された。以上より全職員がストレスを抱えており、個々のストレス緩和の介入はもちろん、組織一丸となりコロナ病棟だけでなく一般病棟にも焦点をあてた対策を検討する必要がある。