第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演7群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護職の心の働きとその対処①~

Wed. Nov 8, 2023 2:30 PM - 3:30 PM 第7会場 (G312+G313)

座長:遠藤 和江

[口演Y-7-5] COVID-19 患者の看護に従事した看護師のストレス状況とストレス軽減の支援方法

茎田 惇也, 竹内 大貴, 谷井 奈保子 (兵庫県立尼崎総合医療センター)

Keywords:COVID-19、ストレス、支援、マネジメント、エンゲージメント

【目的】COVID-19 重症患者の看護に従事した看護師のストレス状況を調査し、ストレス軽減の支援方法の検討を行い、看護師のストレス対処に繋げたいと考えた。【方法】アンケートとインタビューで調査を行い、対象者のプライバシーの保護に努めた。アンケート調査は、COVID-19重症患者の看護に従事したA病院の看護師130名に実施し、結果の平均値に対してt検定を行った。インタビュー調査は半構成面接とし、130名の中から無作為に抽出した30名の看護師に実施し、KJ法を用いて分析した。それらの結果からストレス軽減の支援方法を検討した。【結果】アンケートの有効回答者数は107名であった。COVID-19患者の看護に従事する前後のストレス値の変化に顕著な有意差はなかった。しかし、「仕事をしていると時間がたつのが早い」「仕事に熱心である」などの項ではP<0.05と有意差があり、COVID-19患者の看護に従事した後の方が時間がたつのが遅い、仕事に熱心でなくなったという結果になった。インタビュー調査では「自身が感染しないか不安」「ICUで勤務することの不安」などがあり、その反面「新しいことに挑戦できる」など前向きな意見もあった。ストレスを感じた場面として「病室への長時間入室」「感染防護具の着脱」「コミュニケーションが難しい」などがあった。支援は「相談できる人がいること」「病院全体で看護や対応を共有できる体制」といった意見があった。【考察】COVID-19重症患者の看護は様々な負荷がかかりストレスとなり得る。ストレス軽減のために「スタッフの思いや意見の聴取」「スタッフ間でのコミュニケーションの充実」など1人1人が抱える問題点を明確にし、ストレスを軽減できる支援体制を整えることが必要であると考える。また、漠然とした不安があるなかで未知の感染症と向き合いながら看護をすることは、さらにストレスを抱えることとなり、仕事のやりがいや楽しみなどを阻害する要因となる。そのため、知識を共有する場を設定したり、各スタッフへ動機付けを行い役割を任命することで、モチベーションやエンゲージメントの向上に繋がり、ストレス軽減に繋がるのではないかと考える。今後COVID-19のような新興感染症が流行し、同様もしくは厳密な対応が必要となった場合に、今回の経験を活かしストレス軽減の支援をしていく必要があると考える。